幾何学III曲面幾何教案(2010年6月12日アップ)(20170722修正) Euclid幾何学 1.2 点 A,B を通る直線は、唯 1 つ。 2.[平行線の公理] 直線 l 外の点 A を通り、l と平行な直線は、唯 1 つ存在する。 (注)平面上の 2 直線が、交わらないとき、互いに平行であるという。 3.三角形の内角の和は、180°である。 球面幾何(Riemann、19世紀中) ・単位球面(原点 O(0,0,0) 中心, 半径 1)を、「世界」とする。 ・球の、中心 O を通る平面による、切り口(大円)を、「球面直線」とする。 1.2 点 A,B を通る「球面直線」:O,A,B を通る平面による、球面の切り口(大円)。 これは、唯 1 つとは限らない: ・O,A,B が同一直線上になければ、唯 1 つに決まる。・・・O,A,B を通る平面は唯 1 つなので。 ・O,A,B が同一直線上(即ち、球の直径上)ならば、無数に存在する。・・・O,A,B を通る平面はたくさんあるので。 2.[平行線の非存在] 2 本の「球面直線(大円)」は、必ず 2 点で交わる。[O を通る 2 つの平面の交線は、球の直径であり、球面と 2 点で交わる。] 3.「球面三角形」の内角の和は、180°より大きい。 例―問 P(1,0,0)、Q(0,1,0)、R(0,0,1) を通る「球面三角形」の内角の和は何度か? (注)扇形OPQ、OQR、ORP の弧が、「球面三角形」PQR の辺(「球面線分」) 解:球面三角形 PQR の内角の和 = 球面角P + 球面角Q + 球面角R                = 90°+90°+90°= 270° (Rが北極、P,Q を赤道上で、地球を描こう。) ****************** 双曲幾何(Poincare、19世紀末):非Euclid幾何学 ・単位円 K の内側デルタを「世界」とする。 ・円周 K と直交する円弧を「擬直線」とする。  特に、円 K の直径も「擬直線」とする。(・・・円周に直交する半径無限大の円と見做す。) 1.2 点 A,B を通る「擬直線」は、唯 1 つ。 ・O,A,B が同一直線上にないとき、A,B を通り K と直交する円弧。(・・・A,B を通る円を縮めたり膨らませたりして、直交を実現する。) ・O,A,B が同一直線上にあるとき、O,A,B を通る直径。 2.[平行線の非唯一性] 「擬直線」L とその外部の点 A に対し、A を通り L に平行な「擬直線」が複数存在する。 3.「擬三角形」の内角の和は、180°より小さい。 例―問 (1,0)、(0,1) で、K と直交する円弧(「擬直線」)L を考える。A,B を L 上の 2 点とする。 [擬三角形 OAB の内角の和] (= 角O + 擬角A + 擬角B) と [三角形 OAB の内角の和(180°)] (= 角O + 角A + 角B) の大小を比べよ。 (コメント)OA,OB は直径の一部分なので、「擬線分」。弧 AB は円 K に直交する円弧 L の一部分なので、もちろん「擬線分」。 解:[擬三角形 OAB の内角の和] = 角O + 擬角A + 擬角B                < 角O +  角A +  角B                = [三角形 OAB の内角の和](=180°)