高等学校学習指導要領・理科(昭和45年)
1970(昭和45)年10月15日文部省告示第281号
第2章 各教科
第4節 理 科
第1款 目 標
自然の事物・現象への関心を高め、それを科学的に探求させることによって科学的に考察し処理する能力と態度を養うとともに、自然と人間生活との関係を認識させる。
このため、
1 自然の事物・現象の中に問題を見いだし、それを探求する過程を通して、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
2 自然の事物・現象に関する基本的な科学概念や原理・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
3 科学的な自然観を育て、また、自然科学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
第2款 各 科 目
第1 基礎理科
1 目 標
(1)自然の事物・現象の中に広く自然科学的な立場から問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探求の過程を通して自然の事物・現象に関するいくつかの基本的な科学概念や原理・法則を理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力を態度を養う。
(3)自然の事物・現象に対する科学的な見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、自然科学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)光
光の速さ、光の波動性、スペクトル
(2)エネルギー
太陽光とエネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー(弾性の位置エネルギーを含む。)、化学変化とエネルギー、エネルギーの変換と利用
(3)物質の構成
X線と結晶、団体・液体・気体、気体分子運動、原子と分子の構造
(4)物質の反応
化学結合、酸化と還元、電気分解、化学平衡
(5)万有引力と太陽系
落下運動、運動の法則、等速円運動、惑星運動、万有引力、太陽系
(6)地球の構成
大気の構成とその運動、海洋の構造とそのはたらき、堅い地球の構造、地球を構成する物質
(7)生命と物質
生物体の構成、生物体内の化学反応、生物体の調節、生命の連続
(8)進化
地球の進化、生物の進化
3 内容の取り扱い
(1)内容の(1)から(4)までは「光と物質」という立場で、(5)から(8)までは「地球と生物」という立場でまとめたものであるが、これは指導の順序やまとめ方を制約するものではない。
内容の取り扱いに当たっては、これらの事項を有機的に組織して、エネルギーとその変換、光と物質との関係、物質の構造と反応、宇宙空間の広がり、生命の維持と連続、地球と生命の進化などの基本的な観念や基本的な事項を理解させるとともに、それらの相互の関係を図るようにし、また、できるだけ平易に指導する。
その際、探求の課程を特に重視して、広く自然科学の立場から科学の方法を習得させ、科学的な見方や考え方を育成するようにする。
(2)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は特定な事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にわたるようにすること。
イ データの処理や方法の数学的な取り扱いについては、平易な数式を用いるようにすること。
(3)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)の「光の波動性」については、水波の干渉・回折も扱うこと。
イ (2)の「太陽光とエネルギー」については、太陽の光が地球上でどのように変換されているかを、全地球的な立場で把握させるようにすること。また、光と物質との相互作用も扱うこと。
ウ (3)の「原子と分子の構造」については、元素の周期律にも簡単に触れること。
エ (4)の「化学結合」については、物質はその化学結合の違いによって、塩、分子性物質、金属の三つに大別されることを物質の性質と関連させて扱うこと。
オ (6)の「大気の構造とその運動」については、(2)の 「太陽光とエネルギー」との関連を図って扱うこと。「堅い地球の構造」については、その論拠を中心として扱うこと。また、「地球を構成する物質」については、地球の構成元素にも触れ、地かくを構成する物質の循環も扱うこと。
カ (7)の「生物体の構成」については、細胞の構造、個体のなりたちを扱うこと。「生物体内の化学反応」については、酵素のはたらきを中心に炭素化合物の反応を扱うこと。「生物体の調節」については、ホルモンも扱うこと。「生命の連続」については、遺伝の物質的基礎を中心に扱うこと。
第2 物理I
1 目 標
(1)自然の事物・現象の中に物理的な立場から問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探求の過程を通して物理的な事物・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)自然の事物・現象に対する物理的な見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、物理学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)運動と力
ア 物体の運動
速度と加速度、速度・加速度の合成と分解、落下運動、放物運動
イ 運動の法則
運動の法則、摩擦、重力、運動量の保存
(2)エネルギー
ア 力学的エネルギー
仕事、仕事率、位置エネルギー(弾性の位置エネルギーを含む。)、運動エネルギー、力学的エネルギーの保存
イ 熱と仕事
熱と仕事、エネルギーの保存、不可逆変化
(3)波動
ア 波動
単振動と波動、横波と縦波、波の重ね合わせの原理、干渉・回折
イ 音
音の伝搬、ドップラー効果、共振・共鳴
(4)電界と電子
ア 電界
電荷、電界、電位差、電気容量
イ 電子と原子
陰極線、電気素量、電気分解の法則、原子、放射能
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特にエネルギーや運動量などの保存量、粒子の運動、波動現象、場などの基本的な事項を理解させるようにする。
(2)物理的に探究する過程において、特に観察、実験、測定、データの処理、予測、推論、モデルの形成、仮説の設定、検証などの科学の方法を習得させるようにする。
(3)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよるこのなく、できるだけ内容の全域にわたるようにし、長さ、質量、時間、温度、電流などの基礎的な量の測定を含めること。また、各種の電気機器を用いる実験においては、既習の電流の概念やそれに関する法則の理解を深めるようにすること。
イ 数学的な取り扱いについては、数学的操作を用いすぎて、物理的な見方や考え方をおろそかにしたり、計算に重点をおきすぎたりすることなく、事物・現象に即して平易な数式を使えるようにし、物理における数学の役割を理解させるようにすること。
ウ 物理量と単位(基本単位と組立単位)についての理解を確実にし、また、物理量の測定における誤差と有効数字について具体的に理解させるように指導すること。なお、単位系については、主としてMKSA単位系によるようにすること。
(4)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (2)のイの「不可逆変化」については、熱力学の第2法則を定性的に扱う程度とすること。
イ (3)の「ア 波動」については、エネルギーの伝搬についても扱うこと。アの「単振動と波動」については、単振り子やつる巻きばねにつけたおもりの振動、および正弦波の振幅、波長、振動数、速度などを扱うこと。「干渉」については、定常波も扱うこと。なお、これらの取り扱いについては、現象の観察をもとにした図形的理解を主とすること。イの「共振・共鳴」については、弦や気柱の振動も扱うこと。
ウ (4)のイの「電気分解の法則」については 、モル分子数(アボガドロ数)との関連を扱うこと。「原子」については、原子の大きさ、質量などを扱うこと。「放射能」については、放射線の種類、強さ、作用などを扱い、応用についても簡単に触れること。
第3 物理U
1 目 標
(1)自然の事物・現象の中に物理的な立場から問題を見いだし、観察や実験を行ない、情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、想像的な能力を育てる。
(2)探求の課題を通して物理的な事物・現象に関する基本的な観念や原理・法則の系統的な理解を含め、これらを活用する能力を伸ばし、自然の仕組みや働きを分析的並びに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)自然の事物・現象に対する物理的な見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、物理学が人類の向上に役立つことを認識させる。
2 内 容
(1)運動とエネルギ−
ア 固体にはたらく力
力のモーメント、偶力、重心
イ 回転運動
円運動、向心力と遠心力、中心力と面積速度、万有引力、固定軸のまわりの回転運動
ウ 気体の分子運動
ボイル−シャルルの法則、気体分子運動、内部エネルギー
(2)波動
ア 光波
光の速さ、光の反射・屈折、光の干渉・回折、偏光、スペクトル
(3)電流
ア 電圧と電流
直流回路、電流と仕事
イ 電流と磁界
電流による磁界、磁界が電流に及ぼす力、電流計、電圧計
ウ 電磁誘導
磁界が変化するときの誘導電圧、磁界中を導体が動くときの誘導電圧、インダクタンス
エ 交流と電気振動
交流、コインやコンデンサーを流れる交流、共振回路、電気振動と電磁波、電子工学
(4)原子の構造
ア 波動性と粒子性
電子の質量、X線、光の粒子性、電子の波動性
イ 原子と原子核
原子の構造、原子核の構成、原子核の変換、核エネルギー
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するにあたっては、特に保存量、粒子性、波動性、場などの基本的な概念の理解を深めるようにする。
(2)物理的に探求する過程において、特に観察、実験、測定、データの処理、予測、推論、モデルの形成、仮説の設定、検証などの科学の方法を習得させようとする。なお、法則の適用限界についても触れるようにしよう。
(3)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にたよるようにし、長さ、質量、時間、温度、電流、電圧などの基礎的な量の測定を含めること。
イ 数学的な取り扱いについては、数学的操作を用いすぎて物理的な見方や考えかたをおろそかにしたり、計算に重点をおきすぎたりすることなく、事物、現象に即して平易な数式をじゅうぶん駆使させるようにし、物理における数学の役割を理解させるようにすること。
ウ 物理量と単位(基礎単位と組立単位)についての理解を確実にし、また、物理量の測定における誤差と有効数字について具体的に理解させるように指導すること。なお、単位系については、主としてMKSA単位系によるようにする。
(4)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)のイの「固定軸のまわりの回転運動」については、歳差運動は扱わないこと。
イ (3)のエの「電子工学」については、その特徴と応用を概括的に扱うこと。
ウ (4)のイの「原子の構造」については、水素原子のエネルギー準位についても扱うこと。
第4 化学I
1 目 標
(1)自然の事物・現象の中に化学的な立場から問題を見いだし、観察や実験を行ない、情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行なうなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探求の過程を通して科学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)自然の事物・現象に対する化学的な見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、化学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)化学量と化学式
ア 化学量
原子量、化学式量、モル
イ 化学式
組成式、分子式、構造式、化学反応式
(2)物質の状態
ア 気体・液体・固体
理想気体の状態方程式、アボガドロの法則、気体分子運動、分圧、結晶
イ 溶液
溶解、溶解平衡、モル濃度、溶液の性質
(3)化学反応
ア 化学反応と熱
反応熱、熱化学方程式
イ 化学平衡
化学平衡の移動
ウ 酸と塩基の反応
中和、水素イオン濃度
エ 酸化、還元反応
電気分解、電気分解の法則、電池、酸化剤・還元剤
(4)物質の性質
ア 物質の性質と化学結合
塩、分子性物質、金属
イ 元素の周期律
アルカリ金属、ハロゲン、不活性気体、周期表、炭素化合物、原子構造のモデル
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特に物質の構成、化学反応とエネルギ−などの基本的な事項を理解させるようにする。
(2)化学的に探究する過程において、特に観察、推論、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、デ−タの解釈、モデルの形成、操作的定義などの科学の方法を習得させるようにする。
(3)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にわたるようにし、この中には定量的な実験を含めるようにすること。
イ 化学量の取り扱いについては、単なる計算に終わることなく、実験をとおしてこれらの科学的な意味をじゅうぶんに理解させるようにすること。
ウ 炭素化合物については、その構造と反応は「化学2」で扱うが、「化学1」でも各事項で扱う化合物の例として、できるだけ広く取り上げるようにすること。
エ 無機化学工業、たとえば硫酸・アンモニア・ソーダ工業などは、各事項の中で触れるようにすること。
(4)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (2)のアの「理想気体の状態方程式」については、実在気体との違いについても触れること。「イ 溶液」については、コロイドも扱うこと。イの「溶液の性質」については、沸点の上昇、凝固点の下降なども扱うこと。
イ (3)の「イ 化学平衡」については、化学平衡に対する温度・濃度などの影響を定性的に扱うこと。「ウ 酸と塩基の反応」については、水素陽イオンの授受も扱うこと。ウの「水素イオン濃度」については、pHも扱うこと。
ウ (4)の「ア 物質の性質と化学結合」については、物質はその化学結合の違いによって、塩、分子性物質、金属の三つに大別されることを扱うこと。イの「炭素化合物」については、その特徴を概括的に扱うこと。「周期表」については、第2周期または第3周期の元素の化合物の性質の変化も扱うこと。
第5 化学U
1 目 標
(1)自然の事物・現象の中に化学的な立場から問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探求の過程を通して化学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)自然の事物・現象に対する化学的な見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、化学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)物質の構造
ア 原子の構造
電子のエネルギー単位、同位体
イ 化学結合
イオン結合、共有結合、金属結合
ウ 分子の構造と性質
簡単な分子の構造、極性、水素結合、分子間力
エ 遷移元素
遷移元素の特徴、錯イオン
(2)平衡と反応の速さ
ア 化学平衡
平衡定数、乱雑さ
イ 反応の速さ
活性化エネルギー、触媒
(3)炭素化合物と高分子化合物
ア 炭素化合物
構造、反応
イ 合成高分子化合物
合成、構造
ウ 天然高分子化合物
無機高分子化合物、有機高分子化合物
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するにあったっては、特に物質の構造と性質、化学反応とエネルギーなどの基本的な事項の理解を深めるようにする。
(2)化学的に探求する過程において、特に観察、推論、仮設の設定、実験の計画、実験による検証データの解釈、モデルの形成、操作的定義などの化学の方法を習得させるようにする。
(3)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にわたるようにし、この中には定量的な実験を含めるようにすること。
イ 生物体に関係ある物質については、内容の(3)の「ア 炭素化合物」あるいは(3)のウの「有機高分子化合物」のところで扱うようにすること。
(4)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)のアの「電気のエネルギ−準位」については、(1)の「化学結合」を理解させるのに必要な程度にとどめること。イの「金属結合」については、金属の性質との関連において扱うこと。ウの「極性」、「水素結合」、「分子間力」については、物質の性質との関連において扱うこと。
イ (2)のアの「乱雑さ」については、溶解や化学変化の方向を求める因子の一つとして重要であることを定性的にあつかうこと。「イ 反応の速さ」については、化学変化は多くの場合多段階反応であること、および全反応の速さは最も遅い段階の反応の速さによって決まることなどにも触れること。イに「活性化エネルギ−」については、化学変化の過程において、エネルギ−の障壁を越さなければならないことを理解させる程度にとどめてること。
第6 生物1
1 目 標
(1)生物や生物現象の中に問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮定をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的を能力を育てる。
(2)探究の過程を通して生物や生物現象に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、生物のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)生物や生物現象に対する見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、生物学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)物質交代とエネルギー交代
ア 細胞の構成
細胞の構造とはたらき、細胞を構成する物質
イ 生物体内の化学反応と酵素
生体内の化学反応の特性、酵素とその作用
ウ 同化と異化
光合成、呼吸
(2)恒常性と調節
ア 個体の恒常性と調節
動物の形態と機能の調節、植物の形態と機能の調節
イ 動物の行動
受容体と作動体、神経系の構造と機能
(3)生命の連続性
ア 生殖
生殖細胞、受精
イ 発生と分化
胚の発生、分化とそのしくみ
ウ 遺伝と変異
遺伝のしくみ、変異
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特に生物における物質交代・エネルギー交代、生物における恒常性、生命の連続性などの基本的な概念の理解させるようにする。また、環境との関連を重視するとともに、個体並びに種族の維持・発展にも配慮する。
(2)生物や生物現象を探究する過程において、特に観察、実験、条件制御、測定、数的処理、データの解釈、分類、推論、モデルの形成、仮説の設定、検証などの科学の方法を習得させるようにする。また、生物現象の要因の複雑さを考慮して、対照実験を有効に利用する。
(3)生命の尊重と生物の保護・利用の重要性を認識させるようにする。
(4)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にわたるようにすること。
イ 内容の指導にあたっては、季節やその地域の生物および自然の環境を考慮して、これらを指導の中に生かすようにくふううすること。
(5)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (2)のアの「動物の形態と機能の調節」については、自律神経とホルモンなどを扱うこと。「植物の形態と機能の調節」については、成長ホルモンなどを扱うこと。
第7 生物U
1 目 標
(1)生物や生物現象の中に問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮定をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的を能力を育てる。
(2)探究の過程を通して生物や生物現象に対する基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、これらを活用する能力を伸ばし、生物のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)生物や生物現象に対する見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、生物学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)生命現象と分子
ア 物質交代とエネルギー交代
物質交代とエネルギー交代の関係
イ 生物体を構成する高分子
タンパク質の構造と特異性、核酸の構造
ウ 遺伝子と形質の発現
遺伝情報の伝達、形質の発現のしくみ
(2)生態
ア 生物の集団
生物の集団とその構造
イ 生態系の構造と変化
生態系の構造、遷移
ウ 生態系におけるエネルギーの流れ
生態系における物質生産と消費、物質循環とエネルギーの流れ
(3)生物の進化
ア 生命の起源
生命の起源、生命の変遷
イ 進化のしくみ
進化の論拠、進化のしくみに関する証明
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特に生物における物質交代・エネルギー交代、生物における恒常性、生命の連続性などの基本的な概念の理解を深めるようにするとともに、生命現象の微視的ならびに巨視的な見方、さらに生物の進化的な見方を育てるようにする。
(2)生物や生物現象を探究する過程において、特に観察、実験、条件制御、測定、数的処理、データの解釈、分類、推論、モデルの形成、仮説の設定、検証などの科学の方法を習得させるようにする。また、生物現象の要因の複雑さを考慮して、対照実験を有効に利用する。
(3)生命の尊重と生物の保護・利用の重要性を認識させるようにする。
(4)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 探究の過程を重視し、科学的な方法および見方や考え方を習得させるために、適切な研究の課題を設け、特に継続的に指導を行うことが望ましいこと。研究の課題には、たとえば、次のようなものが考えられること。
器官・組織・細胞の構造と機能、微生物の物質交代、植物の成長と成長物質、動物の行動、動物の発生と成長、小動物の遺伝、植物の群落、植物の物質生産と環境条件、土じょう中の生物群集
イ 内容の指導に当たっては、季節やその地域の生物および自然の環境を考慮して、これらを指導の中に生かすようにくふうすること。
(5)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)のアの「物質交代とエネルギー交代との関連」については、ATPの役割なども扱うこと。
第8 地学T
1 目 標
(1)地球と宇宙に関する事物・現象の中に問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮定をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探究の過程を通して地球と宇宙に関する事物・現象についての基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)地球と宇宙に関する事物・現象に対する見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、地学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)宇宙における地球の環境
ア 地球の運動
地球の自転、地球の公転
イ 太陽系の構成
惑星の運動、太陽系
ウ 宇宙の構成
恒星、銀河系、星雲と宇宙
(2)地球における変化とエネルギー
ア 地球の構成
地球の層状構造、地球を構成する物質
イ 太陽放射のエネルギーとそのはたらき
太陽放射のエネルギーと地球上における熱収支、大気・水の循環とそのはたらき
ウ 地球内部のエネルギーと地かくの変化
火山帯とマグマの活動、地震とエネルギー、地かくの変動
(3)地球と宇宙の進化
ア 地球の進化
古生物の進化、岩石中の記録、地かくの進化、地球の誕生
イ 恒星と宇宙の進化
太陽の放射、恒星の進化、宇宙の進化
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特に宇宙空間の広がり、地学現象におけるエネルギーの流れ、地球と宇宙の進化、自然界の平衡などの基本的な概念を理解させるようにする。
(2)地球と宇宙に関する事物・現象を探究する過程において、特に観察、観測、測定、数的処理、データの解釈、分類、予測、推論、モデルの形成、仮説の設定などの科学の方法を習得させるようにする。また、地学現象では、再起性のない事物・現象が多いので、記録の重要性を知らせるとともに、資料の活用を図るように配慮する。
(3)自然界の平衡の理解にたって、自然の保護・利用の重要性を認識させるようにするとともに、自然災害についての関心を高めるようにする。
(4)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 観察や実験は、特定の事項にかたよることなく、できるだけ内容の全域にわたるようにすること。
イ 内容の指導に当たっては、その地域の地学的な自然環境を考慮して、これらを指導の中に生かすようにくふうすること。
(5)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)の「ア 地球の運動」については、地球の自転・公転の証拠となる事実も扱うこと。ウの「恒星」については、恒星のスペクトル型、H・R図、分光視差なども扱うこと。「銀河系」については、電波観測などで得られた成果も扱うこと。
イ (2)のアの「地球の層状構造」については、気圏、水圏を含めて扱うこと。イの「太陽放射のエネルギーと地球上における熱収支」については、可視光線以外の太陽放射にも触れること。「大気・水の循環とそのはたらき」については、海洋も扱うこと。ウの「地かくの変動」では、造山運動を主として扱うこと。
ウ (3)のイの「宇宙の進化」については、宇宙を構成する元素も扱うこと。
第9 地学U
1 目 標
(1)地球と宇宙に関する事物・現象の中に問題を見いだし、観察や実験を行い、情報を集め、推論し、仮定をたて、検証を行うなどにより、科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
(2)探究の過程を通して地球と宇宙に関する事物・現象についての基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ、これらを活用する能力を伸ばし、自然のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的に考察する能力と態度を養う。
(3)地球と宇宙に関する事物・現象に対する見方や考え方を通して科学的な自然観を育て、また、地学が人類の福祉の向上に役だつことを認識させる。
2 内 容
(1)天体としての地球
ア 太陽と地球
太陽の構造、太陽表面の現象、太陽の活動と地球
イ 地球周辺の場
万有引力と重力、潮せき、地磁気
ウ 時間と時刻
天球における星の位置、時間と時刻
(2)地球の大気
ア 対流とうず
雲と雨、温帯低気圧、熱帯低気圧
イ 全地球的な気圧分布とその変化
全地球的な気圧分布、天気の長期変化、天気の短期変化
(3)堅い地球
ア 地球内部とそのエネルギー
重力異常と地かくの構造、地球内部における放射性元素、地かくの熱流量
イ 地かくとマントル
大陸の成長、大陸の移動
3 内容の取り扱い
(1)内容を構成するに当たっては、特に宇宙空間の広がり、地学現象におけるエネルギーの流れ、地球と宇宙の進化、自然界の平衡などの基本 本的な概念の理解を深めるようにする。
(2)地球と宇宙に関する事物・現象を探求する過程において、特に観察観測、測定、数的処理、データの解釈、分類、予測、推論、モデルの形成、仮説の設定などの科学の方法を習得させるようにする。また、地学現象では、再起性のない事物・現象が多いので、記録の重要性を知らせるとともに、資料の活用を図るように配慮する。
(3)自然界の平衡の理解にたって、自然の保護・利用の重要性を認識さ せるようにするとともに、自然災害についての感心を高めるように配慮する。
(4)内容の取り扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 探求の過程を重視し、科学的な方法および見方や考え方を習得させ るために、適切な研究の課題を設け、特に継続的に指導を行うことが望ましいこと。研究の課題には、たとえば、次のようなものが考えられること。
太陽の活動と地球上の変化、地表で受ける太陽放射のエネルギーの変化、微気象(地形と気象)、郷土の地史、流水とそのはたらき、自然災害とその防止。
イ 内容の指導に当たっては、その地域の地学的な自然環境を考慮してこれらを指導の中に生かすようにくふうすること。
(5)内容のうち、下記の事項については、特にその範囲や程度に配慮するものとする。
ア (1)のアの「太陽の構造」については、太陽の内部と太陽の大気の構造についても、触れること。ウの「時間と時刻」については、天体の位置や時刻、軽度および緯度の観測なども扱うこと。
イ (2)のアの「雲と雨」については、前線性の上昇気流についても触れること。イの「全地球的な気圧分布」については、大気を立体的に扱うこと。
ウ (3)のイの「大気の移動」については、海洋底の現象にも触れること。
第3款 各教科にわたる指導計画の作成と内容の取り扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「物理T」、「化学T」、「生物T」、「地学T」および「基礎理科」は、理科 に属する科目のうち、原則として、最初に履修させるものとして、「物理 (2) 理科に属する科目について、履修させる単位数の合計が6単位の場合には、「基礎理科」を履修させることが望ましいこと。
2 指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)自然の事物・現象についての探究の過程を重視し、各科目に関連する基本的な科学理念を理解させるとともに、科学の方法を具体的に習得させるように配慮すること。このため、指導計画の中に取り入れて実際に指導する事項は、基本的な事項に精選し、系統的な理解を高めていくことができるように組織し、また、指導のねらいや指導する事項に合わせて、問題の発見、観察、実験、条件制御、測定、記録、数的処理、データの解釈、分類、予測、推理、規則性の発見、モデルの形成、仮説の設定、検証などの学習を適宜記組み合わせて指導ができるようにすること。その際、観察や実験と理論との結びつきをじゅうぶんに図るようにし、演えき的な考え方とともに、帰納的な考え方を重視すること。
また、必要に応じて科学の発展の歴史にも触れるようにすること。
(2)観察や実験の際には、個人別、グループ別の指導を生かし、また、教育機器などを有効に活用するなどして、生徒の能力・適性等に応じるように適切なくふうをすること。
(3)観察、実験、野外調査などの指導に当たっては特に事故の防止についてじゅうぶん配慮する必要があること。
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