温室効果ガスの濃度は増加している


過去150年間の温室効果ガス濃度の推移。20世紀は大気の実測値,それいぜんは氷床中の気泡の分析値。
(Hansen,J. M. et al. Climate forcings in the industrial era. Proceedings of the National Academy of Sciences. vol.95, no.12, 1998, p.753–758)
地球大気に存在する気体のうち,温室効果を持つものに,CO2 (二酸化炭素),CH3 (メタン),NO2 (一酸化二窒素),CFC (クロロフルオロカーボン; いわゆるフロン) がある。これらは産業革命以後,急激に増加した。このことは,大気そのものの継続的分析や,南極の氷床コアの解析から明らかになった。図に,温室効果ガスの経年変化を示す (Hansen et al., 1998)。CO2濃度は産業革命前の280ppmv (体積100万分率) から1997年の364 ppmvへ,メタン濃度は700ppbv (体積10億分率) から1721 ppbvへ,NO2濃度は275 ppbvから312 ppbvへと増加した。CFC濃度は1960年代から急激に増えたが,現在では,1987年のモントリオール議定書により規制されている。
温室効果ガスの増加の原因が,人類による化石燃料の消費や森林破壊であることは疑いない。とりわけ量の多いCO2は,現在も1年あたり7.5Gt (ギガトン=100万t) が人間活動によって排出され続けており,排出を大幅に抑制しないかぎり,今後数百年,排出量も大気濃度も増え続ける。しかも,CO2は大気中で安定なので,炭素循環の時間スケールは長く,排出量を減らしても,濃度が元どおりになるまでに長い年月を要する。したがって,温室効果ガス濃度の長期予測は,100–1000年先の地球の気候を予測する重要な鍵となる。

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.