冥王星は太陽から9番目にあり、太陽系の辺境にある最も小さい惑星である。冥王星はまた、惑星探査機が訪れてい ない唯一の惑星でもある。太陽からの平均距離が約59億kmと非常に遠いため、冥王星から見ると 太陽は小さな光る点に過ぎない。

 海王星が発見された時その質量は、天王星を予想の軌道からそらせるには十分でないことが分かり 、天文学者による9番目の惑星Xの探索が始められた。特にアメリカの天文学者パーシバル・ローエ ル(1855〜1916)は熱心であった。しかし、新しい惑星を発見できないままこの世を去り、 彼の夢は友人に引き継がれた。1930年2月30日、その友人が採用したクライド・トンボー(1 906〜1996)により9番目の惑星が発見され、プルート(冥王星)と命名された。

 冥王星の軌道は黄道面に対して17度と大きく傾斜していて離心率(楕円軌道の程度)はどの惑星 よりも大きい。近日点は44億4220km、遠日点が73億8810kmと非常に細長い楕円軌道 になっている。従って、太陽を一周するのに248年もかかる。この間、冥王星は近日点の領域を移 動する20年間は海王星の軌道の内側に入るため、冥王星と海王星の太陽からの距離は逆転する。1 979〜1999年がその期間にあたった。

 1978年、衛星カーロンが発見されると冥王星の直径が2274kmに訂正された。質量は地球 の1/500とされているが、これは、衛星カロンが冥王星の周りをまわるときに起こる食(カーロ ンが冥王星を隠す現象)の解析により求められたものである。表面温度は−230〜210℃でメタ ンの氷で出来た極冠が存在するかもしれない。平均密度は水の2.21倍であることから、冥王星は 木星型惑星ではなくむしろ木星や土星の氷衛星に近いと考えられてれている。


太陽からの平均距離 59億1510万km
半径 1137km
構造 核(岩石)
マントル(水の氷)
地殻(珪酸塩)
質量(地球=1) 0.002
密度(水=1) 2.21
表面重力(地球=1) 0.07
平均軌道速度 秒速4.7km
公転周期 248地球年
自転周期 6.4地球日(逆行)
軌道面の傾き 17.1度
自転軸の傾き 120度
表面温度 −230〜−210℃
大気の組成 窒素(主成分)およびメタン