地学科独自の撮影による画像ページへ

 火星は太陽から四番目の惑星で、赤い惑星とも呼ばれ、その血のように赤い色から戦争や不吉の前 触れと考えられるなど、昔から人類との関わりの深い惑星である。白い極冠、火山、深い峡谷、砂漠な どがあり、地形は太陽系の中で地球に次いで複雑である。大きさは地球の約半分で、地球と組成のよく 似た岩石のマントルがあり、中心核は酸化鉄でできていると考えられている。密度は地球の2/3であ るが、金属の含有量がほとんど無い岩石であるため、質量は地球のわずか1/10しかない。

 火星の表面は、赤道面に対して35度の傾斜角度で北部と南部に大別され、それぞれ異なった性質を 持っている。北部は、クレーターの少ない比較的新しいなだらかな火山性の平原が中心となっている 。南部は、無数の巨大な衝突クレーターで覆われている古い地形が中心となっている。ヘラス、アージ ャイル、イシデスのような巨大隕石の衝突で生じたと思われる大きな衝突クレーターがある。

 自転軸が25.2度傾いているので、火星には地球と同じように季節の変化がある。しかし公転周期 が長い(約687地球日)ため、火星の季節はいずれも地球より2倍も長い。火星が赤く見えるのは、 地表面に含まれる酸化鉄のためである。

 火星には二酸化炭素を主成分(95.3%、その他に窒素とアルゴン)とする薄い大気があるが、 低温、低圧であるため、二酸化炭素や水蒸気が凍結してドライアイス(二酸化炭素の氷)や氷となる。 北極の氷冠は主に凍った液体の水であるが、南極の氷冠はドライアイスで出来ていると考えられてい る。

 19世紀の天文学者パーシバル・ローエルは、火星の表面に見える線状模様から、火星には乾燥した 砂漠に水を引く運河を築く高度の文明が存在すると考えた。しかし、20世紀後半の火星探査機の探査 により、それは空想に過ぎないことが分かった。同時に、探査機が送ってきた画像により、火星にはか つて液体の水が豊富で湿り気があった時期が存在し、地球と同じように生命が誕生したのではないかと 考えられるようになった。


太陽からの平均距離 2億2794万km
半径 3397km
構造 中心核(酸化鉄)
マントル(珪酸塩)
地殻(珪酸塩)
質量(地球=1) 0.107
密度(水=1) 3.9
表面重力(地球=1) 0.38
平均軌道速度 秒速24km
公転周期 686.98地球日
自転周期 24.63時間
公転軌道面傾き 1.9度
自転軸の傾き 25.2度
表面温度 −120〜25℃
大気の成分 二酸化炭素(95.2%)、窒素(2.5%)、アルゴン(1.6%)および酸素(痕跡成分として)
地表の気圧 地球の0.7%

地学科独自の撮影による画像ページへ