岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
理科教材データベース
地震に強い華陽の町にしょう!
〜華陽の町の人みんなの命を守るために〜
岐阜市立華陽小学校6年生「総合的学習の時間」発表会に参加して
2004年11月20日

 歳藤幸弘先生に呼ばれて華陽小学校6先生に対して、地震の被害についてお話したのは半年も前の2004年6月2日のことであった。みんなが「総合的学習の時間」で、地震とその被害について課題学習するにあたり、地震とはどういうものかを語ったのだが、そのときの子どもたちの反応と、今日(2004年11月19日)発表会を終えたときにみせたみんなの表情の違いに、この半年間の「総合的学習の時間」の実践の成果がにじみ出ていた。そう感じたのは指導のため小学校を訪れた鈴木敏恵さんをはじめ多くの方々がいたにちがいない。

 6年生は13のグループに分かれて、華陽の町に住む人々を地震の被害から救うため、それぞれ課題を考え、アンケートをとったり、インターネットで調べたり、専門家の話を伺ったりした。そうしてわかったことを実際に自分たちで実験して検証していった。その結果を今日、PTAを含む大勢の人たちの前で発表していったのだ。

 緊張した表情で子どもたちは自分たちがやったことを説明していく。その一つひとつが「なるほど!」と大人も納得するものが多かった。たとえば、斎藤佑輝君らのグループは、大けがをした人を助けるため、身近な布で手当をする方法や、毛布やカーテンで簡易担架をつくる方法を実演してみせてくれた。安藤健成君らのグループは、防災グッズを集め、それらがリュックに入れるとどれくらいになるかを示してくれた。武藤健悟君らのグループは地震動で散乱した部屋から、どうやってけがをせずに逃げ出すかを考えた。こういった具体的な提案が多数発表されていった。

 こうした活動は、地震の被害がどういうものかをよく理解し、そうした事態になったときの状況をよく考えなければ提案なんかできっこない。大人でも納得するような結論を、しかも自分たちで実際にやって確かめて、自信をもって発表しているから、聞いている人たちにもその真剣さが伝わってくる。

 発表会のあと、プレゼンの資料を掲げている子どもたちのところに行って、それぞれのグループに話しかけた。「被害にあった時に必要な防災グッズも、夏だったら蚊取線香、冬だったら毛糸の帽子とか、季節によっても必要なものがちがってくるんじゃないかなぁ」、「非常食って食べるんだったら、おいしい方がいいんじゃない」、「地震で逃げるために部屋に靴を用意しておくよりも、地震がおさまってから落ち着いてスリッパで靴をはきにいってもいいんじゃないかな」、「防災伝言ダイアルを知らない人に教えるにはどうしたらいいのかな?」などと子どもたちに語りかけてみた。子どもたちは、それぞれの課題にしっかり取り組んできただけに、こうした質問にちゃんと自分たちの意見を述べることができたのだった。

 この授業を見学させていただいて、子どもたちには次のように語りかけた。


 今日、みなさんの発表を伺って、みんなが真剣に調べ、よく考えてきたことがたいへんよくわかりました。たいへん参考になることもたくさんありました。みなさんは今、発表会を終えて、ホッと一安心しているようですが、日常生活のなかで、この学習で学んだことを生かすという課題がまだあります。地震で被災したことを考えてみましょう。けがをしなかった人は、けがをした人を助けるレスキュー隊員です。

 今日学んだことをいざというときに生かして困っている人を助けたり、避難場所で炊き込みなどをして料理をつくるとき、ジャガイモの皮をむいたりとか。いろいろみなさんができることがありますね。そういうときに、機転をきかせて実行できるように、日ごろからお母さんのお手伝いをするとかして、力をつけておくことが大切です。

 今日は立派な発表を聞かせていただき、ありがとうございました。