岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
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「触れる地球」、東海地域にもお目見え!
蒲郡情報ネットワークセンター・生命の海科学館で4号機公開
2004年11月25日

 「触れる地球」が生命の海科学館の展示物としてやってきた。その公開にあたり、2004年11月21日(日)午後2時から3時にかけて、サイエンスレクチャーが企画された。小学生、幼稚園児まで含め、約80名の方々を相手に「触れる地球」を実演しながら講演をさせて頂いた。

 「触れる地球」は直径1mの半球状マルチメディア地球儀である。マルチメディアという意味は、この地球儀は液晶画面でできており、あらゆる地球情報をスイッチ一つで切り替えて表示できるという意味である。つまり、「触れる地球」は球形をした液晶画面だと思えばよい。パソコン利用者は、画面にさまざまな地球情報を表示させることができるが、そうした機能をそなえた地球儀が「触れる地球」なのだ。

 通常の地球儀は北極と南極を結ぶ線に軸があり、この軸のまわりに地球を回転させる。ところが「触れる地球」にはそうした軸はない。利用者は、「触れる地球」にさわって好きな方向へ回転させようとすると、センサーがその力を察知して大陸と海洋の配置が動く。だから南極を上にしてみたり、インド洋を上にしてみたりして、転がすことが楽しみになる。しかも直径1mだと人が抱きかかえるのにちょうどよい大きさでもある。

 たとえば、大陸と海底地図を「触れる地球」に表示させる。これに昼の部分と夜の部分で輝度を変える。さらに気象衛星画像の雲分布をリアルタイムで読み込んで映し出せば、それはまるで宇宙に浮かんだ地球そのもののような感覚を与える。さらに、表面海水温度、植生分布、火山、クレーター、珊瑚礁、砂漠、都市などの情報も取り出せるようにできれば、地球を転がして遊んでいるうちに、地球環境や地理についてのさまざま事象がわかってくるというしくみだ。

 数年前までこんな楽しくておもしろい地球儀は世の中のどこにも存在していなかった。竹村真一さんがアイデアを膨らませ、GKテックの岩政さんたちがハードウエアを作って具体物ができあがった。いよいよそれに地球情報を搭載して地球儀にしていくことになった。私の研究室ではクレーターや火山などの特徴的な地形や地球史の大きな事件が読み取れた地域から地球の歴史を学んでいくコンテンツの製作で協力させていただいた。こうして日本未来館のオープンにあわせて「触れる地球」1号機を世に送り出すことができた。

 一方、蒲郡情報ネットワークセンター・生命の海科学館は、地球と生命の歴史をテーマにした科学館である。従来の博物館と違って展示物を多数集めるのではなく、地球情報を発信する機関であることが特色である。私の研究室で作った地球史コンテンツは科学館のコンセプトにぴったりであり、画像情報の多くも生命の海科学館から提供を受けている。

 この日に「触れる地球」に殺到した大勢の子どもたちの姿を見て、「触れる地球」をもっと魅力的なものにするために、もっともっとコンテンツを増やしていく必要があることを痛感した。どんなコンテンツが必要なのか。生命の海科学館にやってくる市民の方々といっしょに考えてきたい。そう実感したサイエンスレクチャーであった。


関連サイト=触れる地球