岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
理科教材データベース
「すぐれた授業のスタンダード」
ヒルベルト・マイヤー教授来日記念講演
2005年4月15日
講師 様子1 様子2


 2006年4月15日13時から15時にかけて、岐阜大学教育学部107教室で標記講演会が開催された。マイヤー教授は中国訪問の途中岐阜大学を訪問したものである。講演はドイツ語でなされたが、岐阜大学教育学部原田信之助教授らの同時通訳で、ドイツにおけるマイヤー教授の授業理論が語られた。後半では、授業における教師の影響がどの程度か、出席者を交えた交流もあった。会場は、教育学部の学生のほか、現職教員や一般市民で満席の状態であった。

マイヤー教授が提唱する、優れた授業のメルクマールは、次のようである。

<すぐれた授業の10の基準>

基準1授業の構造がはっきりしていること;学習プロセスの構成の仕方や役割が明確であり、規則やルール、自由活動についての取り決めがしっかりなされていることである。
基準2授業における純粋な学習時間の確保;上手なタイムマネジメントや時間厳守など、組織的な事柄がしっかりとできていなければならない。
基準3学習を促進する雰囲気:お互いを尊重する雰囲気、信頼できるルール、責任を引き受ける姿勢、公正さ、気配りなど。
基準4内容の明瞭さ;筋の通った課題設定がなされているか、テーマが説得力をもって進展しているかどうか、成果がはっきりと確保されるのかどうか。
基準5意味を深めるコミュニケーション。これは、計画作成への参加、対話の文化、意味についての話し合い、生徒のフィードバックを通して得られる。
基準6方法の多様性;演出の技術や豊富な行為のパターンと種類、多彩な授業の進め方など、授業のバリエーションが豊富かどうか。
基準7個別的促進;個人差に応じて支援すること、ゆとりと忍耐と時間が鍵となる。生徒一人ひとりの学習要求に応じるために、それぞれの学習状況を把握し、支援計画を立てる。
基準8知的訓練;学習の進め方を自覚させているかどうか、適切な練習課題が提供できているかどうか、目的にかなった支援が与えられているかどうか。
基準9学習成果に期待が持てること。これは、学習指導要領に即しつつ生徒の達成能力に見合った学習提供に加え、学習進捗に対する円滑なフィードバックを通して得られる。
基準10整えられた学習環境;よく整理されていて、機能的な設備があり、使用している学習ツールも備わっていること。

 学習目的の明確化、学習内容、学習環境、社会活動などに関して、基準が述べられており、授業設計や展開において参考にすべき貴重な提言が盛りこまれている。