岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
理科教材データベース
サイエンスキャンプ-2006報告
「手作り測器で気象観測をしよう!」
2006年8月11日

 岐阜県「サイエンスワールド」の主催で「高校生のためのサイエンスキャンプ」というイベントが、8月9〜11日にかけて岐阜大学で開催されました。このイベントは高校生が大学での研究に参加・体験するということを目的に、高校生が自分で選んだテーマの講座で研究に取り組むというものです。教育学部・地学科でも「手作り測器で気象観測をしよう!」という講座を開きました。

 研究内容は、気象観測の基礎となる気温観測装置の制作を体験し、それを使って気温の観測をしようというものです。岐阜大学の地学科ではこの春からインターネット百葉箱として気象観測データをインターネット上で提供してきました。このデータと自作観測データを比較し、自分で作った観測機器でもきちんとしたデータが得られるか挑戦する、というのがこの講座のメインテーマとなりました。高校生が自作する温度センサーとデータロガーの規格は京都大学総合人間学部の酒井敏先生が開発したものを使用させていただきました。

 参加した高校生はハンダ付けや電子工作の経験がないということでしたが、すぐにコツを覚えててきぱきと組み上げてくれました。自作した観測装置は、比較のため市販の気温記録計とともにインターネット百葉箱の観測点付近に設置しました。丸1日経ってから設置した気温観測装置を回収しデータを読み込みましたが、無事データが読み取れたことは大きな感動だったようです。観測結果は、自作のもの市販のものインターネット百葉箱のものでよい一致を示しました。自作のものと市販のものでは高温側で若干のズレが見られましたが、自作のものがインターネット百葉箱により近く、自作の観測機器でもきちんとしたデータが取れたということは自信にもなったようです。

 工作がスムーズにいったため時間が余ったので、さらにインターネット百葉箱の画像を使って雲の図鑑を作ることにも挑戦してもらいました。インターネット百葉箱には、設置開始の2006年3月から10分間隔で撮影されてきた豊富な定点画像がデータとして記録されています。これを使って雲を鑑定し、違う種類の雲を集めてみようというわけです。こうして完成したインターネット百葉箱の画像による雲の図鑑は理科教材データーベースでご覧になることができます。

 暑い中、自作した装置が正常に作動するか確認するために装置を持って学内を歩き回ったり、観測機器を組み上げることは大変なことでした。しかし、それによって目的とする観測結果がきちんと得られたことで研究の楽しさ、面白さも体験してもらえたのではないでしょうか。最終日は他の講座の学生たちと交流発表会もあり高校生にとってとても楽しいイベントになったように思います。


観測機器設置風景

観測結果

雲の図鑑

酒井先生のホームページ:みんなの地球科学プロジェクト

インターネット百葉箱(岐阜大学教育学部)