岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
理科教材データベース
一年をふり返って
平成17年度地学科卒業生  勝野 孝
2007年4月5日
 「勝野先生、1年間ありがとうございました!」3月26日、最後の学級活動でクラスの子どもたちが言ってくれたその一言は、心にぐっと来た。人生で初めて担任した、この5年2組の子どもたちのことは一生忘れないだろう。

 僕はこの一年、特に力を入れてきたことが2つある。

 1つ目は、自分の専門科目である「理科」の学習である。「自分で調べてみたいという気持ちをもち、意欲的に実験・観察を行い、得られた事実から考察することができる理科の授業」というテーマを設定し、一年間取り組んできた。そのために、児童が調べてみたいと思うような導入を考えたり、実験方法を工夫したりした。また、授業後もふり返ることができるように、交流でまとめたことを掲示物にした(図1)。研究授業では「台風と天気の変化」の単元で、「台風の進路は予想することができるだろうか」という課題を設定した。実験する際は、日本付近の地図を印刷したトレーシングペーパーを1人ずつに用意し、1枚の紙に同時に3つの台風の進路を書き込めるようにすることで、比較しやすいように工夫した。その結果、子どもたちは楽しそうに台風の進路の作図に取り組み、その規則性に気付くことができた。

 2つ目は、子どもたちにとっての良き相談相手になることである。子どもたちと年齢が近いということを生かして、同じ目線に立って、困っていることや、悩んでいることの相談にのってあげたいと思った。そのため、朝の会の前や休み時間等を使って、1対1で話す機会を作り、全員と懇談をして、子どもと話す時間をたくさん取るようにした。また、なかなか友達と外で遊べない子には、休み時間に積極的に声をかけ、一緒に外に出るように心がけた。

 しかし、自分は精一杯やっているつもりでも、授業が他のクラスに比べて遅れていったり、子どもがなかなか指示を素直に聞かなかったりして、すごく悩んだ時もあった。そんな時は、自分自身の自信をなくし、教員に向いていないのでは・・・と深く考えたことさえあった。しかし、初任者指導の先生や、学年主任の先生に相談し、自分にも直すべき点があることに気が付いた。それは、大きく「@教師が話す時は、しっかり聞く姿勢をつくってから話すということ」、「A指示をしたら、最後まで見届けること」の2つである。確かに、僕は子どもが横を向いていたり、机の上にいらないものが乗っていたりしても、そのまま話し出してしまう。また、「掃除はしゃべらずにやろう。すみずみまできれいにしよう。」と指示はするものの、きれいになったことを確認しないまま終わってしまうこともあった。そのため、子どもたちは「この先生は、姿勢が悪くても話してくれる。掃除をやらなくても、大丈夫だ。」という意識になってしまい、前に述べたような態度を示したのであろう。このように考えると、子どもたちの態度がそうなったのは自分の責任で、自分が直さなければいけないことである。子どもに「どんな力をつけたいのか」を考えたとき、学力や基本的生活習慣はもちろん、良い姿勢で聞く力とか、最後までやりきる力をつけていきたい。そのためには、子どもにどのような接し方をしなければいけないのかをしっかり考える必要があることに気が付いた。

 この一年、自分なりに自信をもって「頑張った」と言えることもあるが、正直たくさんの課題もできた。来年度は今年度学んだことを生かし、そして同じミスは絶対にしないように、子どもたちのことを一番に考えた指導をしていきたい。初めにも述べたように、今年度のクラスの子どもたちは、僕にとって忘れることのできないかけがえのない子どもたちである。この子たちとつくったたくさんの良い思い出を胸に、一教育者として、これからも一人一人を大切にした教育をしていきたい。