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縞縞(しましま)学


「しましまがくう?」とある雑誌のページで見つけた、人を食ったような名前。こんな学問があるのだろうか?
 記事によると、自然界にある縞状の構造(たとえば年輪や地層など)をさまざまな視点から研究・分析し、46億年にわたる地球史を解き明かすのだという。縞縞は地球のリズム、そして時に突発的におけるイベントの記録。それらから地球の、果ては宇宙のあらゆる事柄を読み解こうというのだから、かわいらしい名前からは想像もつかないスゴイ学問なのだ。

(中略)

 そんな知的行動派の川上先生は、最近の学生の気質を憂慮しているところがある。

 「目標がなく漫然と、入学してくる学生が多い気がします。卒業研究にしても、たまたまやることになったものをやるという具合で。人生を変えるような人との出会い、学問との出会いが数多くあるはずなのに、それに気づかず過ごすのはもったいないですね」

 川上先生がすすめるのは、神奈川大学学長の桜井邦朋先生が書いた「大学は何を学ぶところか」(地人書館)。生物学を志していた著者が、宇宙物理学に転身した経験を通し、偶然の出会いを人生の糧とする大切さを語りかけてくる名著だ。大学を目指す諸君は一読してみてほしい。

 「高校の地学の授業は、ここでの研究に比べれば過去の遺物のようなものです。大学には最先端の研究の世界がある。もっともっと先へ行きたいという、求める気持ちさえあれば、いくらでも機会は与えられると思いますよ」

 さあ、あなたも人や学問との出会いを求め、魅力あふれる縞縞の世界に浸りたいと思ったら、ぜひ川上研究室の扉を叩いてみてはいかがだろうか?

(「大学は研究室で選べ2」(数研出版)より、文:鈴木恵美子(ライター))