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就職・進路
― あなたは悩んでいませんか ―


人生:それはたった一回きりの実験だ
川上紳一(岐阜大学・教育学部・助教授)

 青春とは悩み多きもの。学生生活には悩みがないと言ったら嘘になる。人生を左右するもの。それは進学、就職、そして結婚・・・

 私は高校生のとき、宇宙や地球の探求にあこがれのようなものをもっていた。人見知りが人一倍激しく、オトナと接するのに生理的な拒否反応が強かった。その分、自然に対する興味とあこがれが強かったのだと思う。大学にはいってすぐプレートテクトニクスという新しい地球観に接し、人生観まで大きくかわった。それに刺激され、もっと新しい地球観を求めた。

 大学の研究室では、それに答えるだけの熱気と強い意気込みがあった。新しいアイデア。新たな計算や実験。活気ある研究現場に身を置きたいと願った。研究室はサロンであり、そこに出入りする人々の自由な議論が自分の考え方や生き方に大きな影響を与えていた。振り返ってみると、学問や指導教官、同僚との偶然の出会いが、これまでの自分の進路を大きく左右してきたことがわかる。

 まず、惑星科学を始めたばかりの水谷仁さんが新たなスタッフに加わった。おりしもボイジャーの惑星探査で木星の衛星イオに火山が発見され、私は卒論でイオの研究にチャレンジした。続いて天体衝突の実験的研究。地球形成論や地球進化論に関する研究へと興味が広がっていった。

 だが、就職についての悩み(不安)は人並み以上。当時は三0才を過ぎても就職がみつからない先輩たちが研究室にあふれていたからだ。惑星科学などという新しい分野をやっている研究室はごくわずか。お先真っ暗のなかで、自分の選んだ道を信じて突っ走る以外に道はなかった。ある年の春、岐阜大学からこないかといわれ、たいへんうれしかったことを思い出す。

 今の若者は、結果がわかっていないと食いつかない。いわく「これをやったら就職できますか?」だがそれはやってみてはじめてわかること。うまくいかくかどうかの見通しは、失敗のくり返しの中で学び取るしかないのだが・・・




進路・就職おおいに悩もう!
安藤 亮(地学科卒業生)

 私は、小さい頃から理科を勉強すること、もっというと客観的・科学的に物事をみることが好きでした。両親が共に教員であったこともあり、理科の教員を目指し教育学部に入学しました。地学に入った理由は、自然全体を理科としてとらえた場合それは、すべて地学につながっていくのではないかと考えたからです。また自分としても地学は子どもにとっても興味の持ちやすく生活にいかせられるものだと思ったからです。

 就職活動を自分の進路としてとらえた場合、私は教員採用試験を受けるということに関しては前向きに活動をしています。しかしその他一般企業、公務員試験等、世間一般的にいわれる就職活動というものは行っておりません。自分だけが採用試験一本に絞っているので周りの就職活動の状況を見ていて自分は今のままでいいのか不安になってくることもあります。しかし私は是非とも教員になりたいと思っています。それ以外の職業で妥協するようなことはしたくありません。自分の将来の夢を達成させるためにはこれくらいの意気込みがあってもいいのではないかと思っています。

 自分の進路目標は教員になることですが、最終的な到達目標ではありません。あくまで教員になることは、将来のスタート地点です。それから先、自分が教員としてどうあるべきか、何を子どもたちに伝えていきたいかということを考えたときに、今現在自分は大学生として学ばなければならないことが多くあります。

 それは、理科の教員としての専門性であったり、教育者としての人間性であったり。いろんなことを経験して失敗して、悩みながら成長する。今の自分はこの悩むということの真っ只中にいると思います。それは進路だけに限ったことではありません。またそれがいけないことだとも思いません。自分にとってもおおいに悩むことは大切だと思います。悩むことを恐れずにこれからも自分の夢に向かって努力をしていきたいと思います。