★生きのびるために体型を変える
「こんな生き物たちが、5億年もむかしに、じっさいに存在していたと思うと、おどろきですね。いったい、どんな生き方をしていたんだろうな」「長い時間の中で、生命はなんとか生きつづけてきた。しかしその間、どのような生き方をしていたのかは、化石の証拠も少なく、わかっていないことのほうが多いんだよ。ただ、たとえばこの生物……これはパネルで説明したほうがわかりやすいかな」
教授はそういいながら、1枚のパネルの前にマータを案内しました。
「見てごらん。これはハルキエリアという生物だ。現在見られる動物でいえば、ヒザラガイの祖先といっていいかな。これが現在のように変化していった道のりを考えたのがこの図なんだ」
教授は、パネルの矢印を指でたどりながら、ハルキエリアの両端がしだいにくっつき、やがて内側に合わさるようになっていったことを説明してくれました。
「ふーん、両はしがくっついて、貝の殻のようになっていったんだ」
周りをかたい殻でふたをすることで、自分の身を守ろうとした動物の知恵を感じて、マータは教授にたずねました。
「殻や骨格でからだをかたくして、自分の身を守る必要があったのかしら……?」
すると教授は、とても優しい目で答えました。「そうかもしれないね。クラゲみたいにふわふわしたままだと、動きにくいし、食べられやすかったのだろう」
生物の適応はつづいている
このハルキエリアという貝が、環境によって変化(進化)していくようすは、生き物はいつも同じ形をしているわけではない、という見方でとらえるとおもしろいだろう。
くり返すようだが、地球上の生物はこれまで、いろいろな形で出現しては消滅していった。このことは、現在もなお、環境の変化で、生物の適応はつづいているということなんだよ。