★紫外線*ってなあに?
夏。海の大好きなマータにとって、たまらない季節です。
青い空と青い海――、さっきからマータは、うきうきしていました。なんといっても、今年はじめての海水浴なんです。それも、家族そろって。
「マータ、ぼうしと日焼けどめクリーム、忘れないでね」
お母さんが声をかけました。
「どうして? 日焼けして健康的なほうがいいでしょ?」
マータは、ちょっと口をとがらせました。
「海は紫外線が強いからね。あまり強い太陽にあたると、皮ふによくないんだそうだよ」
そばから、お父さんがなだめました。
「ふーん。子どもでも、日焼けどめクリームがいるんだ?」
「そのほうがいいだろうね。太陽の光の中には、紫外線といって、生物にとって有害な光があるんだ。もっとも、紫外線にだって、人の骨を強くする、いい作用もあるんだけどね。ただ、あまり紫外線が強すぎると、皮ふガンができたり、細胞の中のDNA*を破壊したり、生物に悪い影響があるといわれている。……それに」
「それに、なあに?」
「地球をとりまく大気中には、オゾン層*というのがあって、紫外線を反射させたり弱めたりしているんだが、最近、人間がつくりだしたフロンガスなどが、そのオゾン層を破壊することがわかったんだ。地球上の生物はこれまで、このオゾン層に守られて生きてきたんだがね」
「ふーん、こわい!」
「そう。こわい話だね」
そんな話をしながらも、海岸に着いたときには、紫外線のことはすっかり忘れていました。久しぶりに見た空も海も、青くかがやいて、あまりに美しかったからです。
ところが、マータが砂浜に腰をおろして、なぎさで弟とふざけあっている両親をながめているとき、出がけにお父さんに聞いた、オゾン層のことを、ふと思い出したのでした。