「ごらん、マータ。これが原始の地球だ。この海の中は〈生命のもと〉となる物質が、いっぱいとけこんだ世界だったんだ」
コスモス教授は、こう話しはじめながら、目の前に現われた火山や、熱水噴出孔からしきりに黒いけむりをふき出している、海の中のようすを指さしました。
「原始の海の中で、噴出孔からふき出しているものには、硫化水素のほかに、鉄やマンガンなどのさまざまな金属がふくまれていたんだ。それは現在でも変わりはないのだが、これらは、生命が生きるために必要な、エネルギーのもとになるものなんだ」
「いったい、この熱水の温度は何度ぐらいあったんですか?」
マータがたずねました。
「おそらく400℃近くはあっただろうね。そんな中で生命が生まれてきたとすると、おそらく、硫化水素をエネルギーに利用していたことはまちがいないね」
「ひえーっ、そんなに高いの? わたしの見たのも、こんなところで生まれてきたのかなあ」
マータは、さっき温泉で見たイオウシバのことを思い出したのです。
「そのイオウシバの中にも、有機物をつくりだすバクテリアがいることがわかっているんだ」
コスモス教授はそういいました。