(……太陽にも寿命がある……!生まれたり死んだりするのは、生物だけじゃないんだ……)
マータは、不安になってきました。
それだけではありません。〈宇宙が誕生する〉なんて、マータはいままで考えたこともありませんでした。コスモス教授(が説明してくれた〈ビッグバン〉から始まった宇宙の長い道のりや、星が生まれやがて死んでいくことなど、宇宙そのものがたどる〈生と死〉の話に、すっかり圧倒(されてしまったのです。
銀河系(の中に太陽があり、その太陽系(の中に地球がある……。わたしたちはその地球に住んでいて、夜になると、そこから美しい月を見たり、望遠鏡で土星の輪をのぞいたりしているのです。
そして、このミラクルミュージアムに来るまでは、マータには自分が「地球という星の上に立っているのだ」などと、思ったこともありませんでした。
ところが、コスモス教授の話を聞きながら、目の前にかがやく星々を見ているうちに、いま、自分のいる地球という星が、巨大(な銀河系の中の太陽系の、さらにその中の星のひとつにすぎなくて、自分がいま、この大きな宇宙の1点に浮(いているのだ――という実感が、おぼろげながらわいてきたのです。
とすると、ちっぽけなマータ自身も、ちっぽけな地球という星のわずかな一点に、ぽつんとのっかっているにすぎない、ということになるのでしょうか。
そしてもうひとつ、もっと重大なことは、「太陽が死んでしまう」という教授の言葉です。それがもしほんとうだとしたら、地球はいったいどうなるのでしょうか?地球上の生物たちはおろか、人間だって、とうぜん生きてはいられないでしょう……。いや、その太陽がなくなる前に、地球のほうが先に消滅(してしまうかもしれないし……。そう思うと、マータの不安は、ますますかきたてられるのでした。
命をつぎの世代へ
マータの不安はわかる。だが、生まれて死んでいくのは、なにも人間や動・植物だけじゃない。この宇宙のすべてのものが、生まれてはやがて死んでいく、その循環をくり返しているんだ。いわば、そのくり返しが、人間や生物の命をつぎの世代、つぎの時代へとつないでいく。気の遠くなるような長い時間を凝縮(して考えれば、宇宙だっておんなじさ。