教職実践演習授業概要


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ア.オリエンテーション,教職の意義

 文部科学省から出された科目「教職実践演習」設置の意義と目的について,学校現場の実態及び自らの課題と照らして学ぶべきことを説明する。
 つまり,この科目は,これまで本学の学生が身に付けた資質能力が、教員として最小限必要な資質能力として有機的に統合され、形成されたかについて、最終的に確認するものであり、いわば全学年を通じた「学びの軌跡の集大成」として位置付けられるものであることを理解する。したがって,学生はこの科目の履修を通じて、将来、教員になる上で、自己にとって何が課題であるのかを自覚し、必要に応じて不足している知識や技能等を補い、その定着を図ることにより、教職生活をより円滑にスタートできるようになることが期待されることを学ぶ。
 また,本学のオムニバス方式による演習に積極的に参画し,実のあるものにするための心構えについても学ぶようにする。
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イ.危機管理と教師の対応

教員としての使命感,責任感,教育的愛情に立って,学校における危機管理がいかにあるべきかについて,実際の事故事例をもとに対処方法と心構えなどを演習形式で学ぶ。
 内容は,児童生徒の怪我などの事故,不審者への対応,学校の重大事故,震災等の事例をもとに事故対応の重要性について学ぶ。その後,それぞれの事故の防止,事故への対処方法と心構えについて考え,交流する。その中で,危機管理に対する共通した考え方や心構え、在り方を身に付ける。
 評価は,学生による相互評価あるいは小レポートとする。
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ウ.地域との対応,クレーム対応

現社会においては情報提供と情報公開が広く求められ、意見、要望を主張したり、苦情を訴えたりすることが当然の権利として受け取られるようになってきている。教育現場でも、保護者との関係が対等になり、自分の子どもの不利益と思われることに対しては、きちんと説明してもらわなければ、と考えている保護者も多いくなってきた。いわゆるモンスタ-ペアレントではなくても苦情やクレ-ムなどが増え、現場ではそういう苦情に適切に対応することが求められている。そこで、本講義では、苦情の対応の目的は単なる処理ではなく、信頼関係を築くという視点に立って、解決についての実践的な方法を学ばせたい。評価については、授業時間内で取り組むいくつかの課題に応じて実施する。
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エ.学級経営,学習環境

*「学級目標の具現に向けた学級経営のあり方」
(内容・評価)学級経営を進める際に、教師が年間を通じて大切しなければならないのが、学級目標である。4月に子どもと共に設定した学級目標をどのように具現していくのかは、教師の力量の一つと言える。しかしながら、実際の学級目標を見ると、日々の学級経営との関連が意識されていなかったり、学校教育目標や学年目標とのつながりがないままに、設定されていたりすることが多い。
 そこで、学級目標を設定することの意味や価値と、その具現に向けた学級経営のあり方について、グループワークを中心に検討する。その際、実際の学校経営計画や学級経営案、学級目標(掲示物)などを資料として用い、また現場教師のインタビューを紹介するなどして、より実践的な内容とする。なお、グループワークの様子や小レポートの内容などから、総合的に評価を行う。
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保エ.クラス運営と学び

入園間もない幼児達と、どのようにすれば子どもとの信頼関係を構築できるかをグループでの討議を含めながら考えていく。
① エンカウンターを用い、入園(入学)時の子どもの心理的な状態を理解する。
② 入園間もない子どもに起こりそうなトラブルについて考える。
③ 子どもを迎えるにあたってのクラスの環境整備について考える(壁面・机の位置・並べ方・座り方・保育者(教師)の立ち位置・保育室に必要なものなど)。
④ 遊び・友達関係など入園間もない子どもへの具体的な援助の方法を考える。

 《評価》グループワークなど授業への積極的参加度によって評価を行う。
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オ.望ましい集団形成

「望ましい集団形成」について検討する本演習では、教育実習において主に担当した学級において、担任教員が行っていた学級運営を題材とする。担任による学級運営において、学級内の仲間集団内の子どもどうしの関係や、仲間集団どうしの関係を円滑にするために行われていた様々な試みをふり返る。受講生には、教員としての立場から、それらの試みの良い点と問題点について分析した上で、自分ならば問題点をどのように改善し、どのような学級運営を行うか提案することが求められる。各受講生の分析と提案については、全受講生の間で議論し、最後に担当教員が集団の形成と維持に関する社会心理学の知見を踏まえてコメントを述べる。演習での分析・提案とシェアリングを通じて、望ましい集団形成を促す実践知を身につけることを目指す。
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カ.不登校,特別支援教育

 特別支援を必要とする小学校低学年の児童1名と小学校高学年の不登校の児童1名、計2名の生育歴等の資料に基づいて、事例検討を数名のグループごとに行う。2事例についてグループごとの事例検討を通して、見立て、支援目標、手立てを明確にしてグループ代表が発表し、それらを受けて全体討議を行う。全体討議の後で、2事例の見立て、支援目標、手立てのポイントを保護者への支援も含めて整理する。特別支援を必要とする児童・生徒や不登校の児童・生徒への深い理解と適切な支援について、実践演習を通して教師として必要な能力を養う。
事例検討とポイント整理を通して、教育相談・特別支援に必要な能力について受講生全員が個別にレポートにまとめる。レポートは原則として授業後1週間以内に担当者(譲もしくは吉橋)に提出する。事例検討の参加度とレポート内容を同等に評価する。
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キ.情報機器の活用と情報モラル

社会の情報化が加速する中、学校教育においても「教育の情報化」が積極的に進められている。教育の情報化には、児童生徒に情報活用能力を育てる「情報教育」、わかる授業を実現し学力の向上をめざす「学習指導におけるICT活用」、校務の効率化によって教育活動の充実を図る「校務の情報化」の3点が含まれるが、これらをバランスよく指導する力が教員には求められる。同時に、社会の情報化による負の面への対応や判断が難しいモラルジレンマ等を検討する「情報モラル」を児童生徒に指導する能力も不可欠である。本講義では、情報モラルを適切に指導する方法を身に付けさせ、学校現場ですぐに指導できる準備を進めたい。評価は、授業時間内にグループで取り組むいくつかの課題に対して、課題解決 能力、情報活用能力、コミュニケーション能力の3つの観点から総合的に行うものとする。
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ク.総合学習の計画と実践

「総合的な学習の時間」誕生の歴史的経緯を振り返りつつ目標や今次改訂の要点を確認するとともに、現場教師として役立つ優れた実践事例をもとに感想や意見を交流しあう。授業内容は、赴任校で総合学習を構想するための具体的な手だて/立案段階での留意事項/年間指導計画と展開プロットの作り方/など努めて実践的な内容に絞り、これまでの学びを生かしながら再考する。また、指導上のキーポイントや評価の具体についても触れ、最終的には仮想配当学年のプロットつくりを課して評価する。
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保ク.幼児虐待の実態と対応

 子どもの心身の発達に深刻な影響をもたらす幼児虐待の現状に対する理解を深めるとともに、事例検討を通して幼児虐待への具体的な対応方法や関係機関との連携について学ぶ。
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ケ.道徳教育と人権教育

*「人を大切にする実践力を高める道徳教育と人権教育」
(内容・評価)  小中学校での教育実習で受講者が用いた道徳の学習指導案や実際の授業を振り返る ことを通じて、道徳教育の目標・内容や具体的な指導方法について再考する。あわせ て、小中学校で展開されている人権教育のカリキュラムについても検討する。評価に ついては、授業時間内で取り組むいくつかの課題の成果に応じて実施する。
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コ.特別活動の計画と実際

「学校ふれあい体験」や小・中学校での教育実習等で経験的に学んだこと,特別活動の意義,目的,指導法等大学で学んだことを踏まえて,特別活動について理解を深めていく。内容としては,特別活動の中でも学校行事に焦点をあて,簡易ディベートにより色々な角度から考え,議論をし,深めていく。
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保コ.保幼小の連携強化

 幼稚園と小学校の間にどのような環境の違いがあるかを考えていく。
具体的には①物的・空間的移行、②人的移行、③文化的移行などが考えられる。
これらについてグループで討議し、自己の幼稚園及び小学校入学時の体験を振り返りながら、どのようにすれば子どもが小学校に抵抗なくし、自分の居場所を確保していくかを考えていく。

《評価》グループワークなど授業への積極的参加度によって評価を行う。
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保サ.幼児の健康管理

子どもが「心身ともに健康な状態」とはどのような状態かについて、これまでの学習や保健関連の教科書を参考にしながら振り返り、子どもの健康を保つための生活環境、保育環境の在り方、日常生活における子どもの健康増進方法について再確認する。さらに、子どもに対する健康推進のための教育媒体を班ごとに考案し、子どもの発育、発達段階を十分踏まえたものであったか等について考察する。
(授業当日教育媒体作成に必要な資料を持参してください)
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保シ.保護者支援のあり方(模擬保育演習)

 つまずきや困難さを示す子どもの親など子育不安を抱える保護者に関する現実的な架空事例を創作し、その事例を題材としたロールプレイを通して、保護者支援のあり方を検討する。
 *提出物と意見交流への参加度などで評価する。
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ソ.教師の実践力の振返り

 教職実践演習で学んだことを振り返るに当たり,学校の教育現場の実態と照らして,教員としての心構えや指導の在り方の総仕上げの時間とする。
 そのために,教員としての使命感や責任感、教育的愛情,社会性や対人関係能力,幼児児童生徒理解や学級経営等のポイント,教科・保育内容等の指導力等について自己の課題を克服し,学校現場に赴く者としてどのような構えで臨むか等の意見交流をする。その上,指導教員のまとめを中心にこの科目の締めくくりとする。
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