細胞の誕生

生命は生きている状態を維持するため,外界から物質を取り込んで、エネルギーを獲得したり、必要な化合物を合成したりする。これを代謝という。
生物の代謝反応は酵素による反応で、酵素は多くのアミノ酸が結合したたんぱく質である。
そして、アミノ酸からたんぱく質を合成するための情報は、遺伝子に記録されている。遺伝子はDNAでできており、RNAを介してたんぱく質が合成される。
さらに、生命は細胞からできている。一つひとつの細胞の中に遺伝子があり、代謝がされている。細胞は細胞膜で包まれていて、それは脂質でででている。
したがって、生命が発生するためには、酵素反応を担うたんぱく質、遺伝情報を記録する核酸(DANとRNA)、細胞膜を作る脂質が不可欠である。
たんぱく質を作るには,DNAの遺伝情報を元にする必要があるが、DNAを作るには酵素が必要だ。1980年代に、RNAの中に、遺伝情報を記録しかつ酵素として機能するものがあることが発見された。それに基づき、“現在のDNA生命に先立って、RNAが遺伝と代謝を担うRNA生命が存在した”という仮説が提案された。これをRNAワールドという。
その一方で、ダイソンFreemanJohn Dyson 1923– アメリカの天文学者は、“遺伝より先に代謝が成立した”とし、たんぱく質ワールドと名づけた。細胞の起源には、まだこのように多くの考えがある。