エル・ニーニョ現象

大雨・干ばつ・竜巻……世界のあちこちで発生する異常気象。異常気象とは,何十年に一度起こるか起こらない気象現象だ。近年では,異常気象の原因がエル・ニーニョ現象だと考えられるようになった。しかし,個々の気象現象の原因をエル・ニーニョに求めるのは難しい。
エル・ニーニョの発生や推移を予測するため,リアル・タイムで観測がなされている。その一方で,エル・ニーニョ現象の歴史に関する研究も始まった。
海洋科学者は,サンゴ礁のサンゴの縞に刻まれた海洋変動の歴史を読むため,南太平洋の島々で試料を採集している。水中で試料を採集するため,特殊なコア採集装置を用い,海に潜って作業する。こうして得られた試料からエル・ニーニョの歴史が解き明かされようとしている。一方,雪氷学者は,ペルーやヒマラヤの山岳氷河を掘削し,氷河に刻まれた歴史にエル・ニーニョの足跡を見出そうとしている。
そうした研究の蓄積によって,エル・ニーニョの発生と太陽活動の関連性が示唆された。

© 2002 Gifu University, Shin‐Ichi Kawakami, Nao Egawa.