大洪水
とつぜん豪雨が始まった!!
水蒸気として大気中にたくわえられていた水は、地球が冷えていくに したがって、高温の雨となって地表にふりそそいだ。
 
★雨は1000年もふりつづいた
「一方、地球は微惑星の衝突によって成長し、しだいに大きく巨大になっていった。
衝突が減って、地表の温度はしだいに下がっていった。したがってマグマも冷えて、マグマは岩石におおわれることになる。
地表の熱が冷えると、下からの熱で保たれていた原始水蒸気大気は、それまで熱であたためられて乾燥状態になっていたのが冷やされて、大気の底に湿り気を帯びるようになってきた。ちょうど、雲がわいた状態になってきたんだね」
「水蒸気が雲に変わったんだ!」
「そう。雲が生まれると、雲から雨がふりだす。大気の温度が下がると、それまで気体だった水が雲になり、やがて雨となってふりはじめたのだ、まるでこんな状態でね!」
教授がそういったとたん、地表をおおっていた空がにわかにかき曇って、大つぶの雨がたたきつけてきました。いなずまが光り、雷鳴がとどろき、はげしい雨音でなにも聞こえません。
「あわーっ! いったいどうなってるの!?」
「あははは、熱いから、気をつけるんだよ!」
「えっ! 冷たい雨じゃないの?」
「とんでもない。水といっても、いまの水の温度とは大ちがい。まだまだ想像を絶する高温の大気だからねえ。おそらく、にえたぎった雨が、それも最初は豪雨のようにたたきつけたんだろうね」「うわぁ、熱かったでしょうね!」
「熱かったろうね、さぞ」
「まるで、地獄みたい……!」
「そう、地獄だね」
教授はマータに向かって、いたずらっぽく片目をつむりました。
「さて、こうして長い道すじをへて、ついに地球上に雨がふりはじめたんだね。ところが、雨がふるといっても、それまで地球の周辺をとりまいていた原始大気中の水蒸気が、ほとんど雨に変わるわけだから、とてつもない量の雨がふりつづくことになり、地球はほとんど水びたし状態になっていったんだ。
マータには、この雨が1000年近くもふりつづいたと想像できるかな?」
「えーっ、1000年もですか!?」
「そうなんだ。それほど、ものすごい雨が長い間ふりつづいたんだよ」

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