よみがえるアノマロカリス
いまからおよそ5億4000万年前、カンブリア紀の海中に、かたい殻やとげをもった生物が大量に出現した! それはまさに、カンブリア紀の大爆発*とよばれるにふさわしかった。
★パズルのように出てきた化石
「ここにいる生き物たちの形をよく見てごらん。これは現在の脊椎動物の、まぎれもない祖先といえるものたちだよ」
コスモス教授は、話をつづけます。
「どこが、どうちがうのですか?」
マータはたずねました。
「この生き物たちには、かたい殻ができているんだ。エディアカラ生物群の出現から約1000万年後、いまから5億4000万年前に、ようやくかたい殻をもった生物が現われたってわけだ」
「その1000万年の間に、どうしてこんなに形が変わったんですか?」
「ふしぎだね、とつぜん形の変わった生物が、それも、たくさんの種類が一度に出現したんだから……。だから科学者たちは、この大事件を〈カンブリア大爆発〉とよんでいるんだ」
教授はそういいながら、エビに似た生き物の化石を指さしました。
「これは、アノマロカリス*といって、この時代のもっとも凶暴な肉食動物だった」
「こんなエビみたいなものが?」
思わず、マータはさけびました。
「じつは、この動物の正体は50~60cmはあるだろうね。はじめは触手の化石だけが発見されたので、どんな生き物だか、まったく見当がつかなかったんだ。ところが同じ場所から見つかった小さな化石をもとに、このようなからだに完成させたのは、日本のテレビ番組のスタッフだったんだ」
「えーっ! テレビ番組のスタッフがですか? ねえ、もっとくわしく話して!」
おどろいたマータは、話の先を催促しました。