空白
生命という1つの箱
 
「ところで、細胞って聞いたことある?」
教授が、きゅうにたずねました。
「んーと、アメーバーみたいなもの?」
「わたしたちのからだの基本になっているものだ」「からだの基本……どういうこと?」
「正確にいうと、細胞は生命の最小の単位。まず細胞膜という膜でかこまれていて、そして自分で増える(増殖する)ことができて、生きていくための装置(物質代謝*)があって、そして進化していくことができる。これをになっている最小単位が細胞なんだね。
そして細胞というのは、膜につつまれた中で、1つだけで生きられる単位なんだ」
「1つだけで生きられる……」
「つまり、細胞が完成することで、生命体が地球上に誕生した、ということができるんだね」
(いったい、どういうことなんだろう……)
ふしんそうなマータの顔を見て、教授は話をつけくわえました。
「この細胞ができあがっていく段階にしても、いろいろな考え方があって、まだ、はっきりとわかったとはいえないんだが……、まあ、もう少し先へ話をつづけよう」
コラム原核細胞と真核細胞
核というと、おそらくマータも遺伝子という言葉を思い浮かべるだろう。この遺伝子は核の中にあって、核は細胞の中で仕切られている。このような細胞を真核細胞とよんで、原核細胞と区別している。
原核細胞は、核が細胞膜の中で自由にふらふらと動いていて、核の膜にかこまれてないものをいうんだ。このような細胞(原核)は、生命の始まりの状態と考えられていて、しだいに真核細胞に変化していったと思われる。もっとも、核の役割は遺伝子であって、遺伝子というのはDNA*を指すんだがね。
DNAは、むずかしい言葉で〈核酸〉といい、遺伝情報がくみこまれているんだね。
このように、細胞の中に核がとじこめられることによって、細胞内でのもののやりとりや、それぞれの役割がはっきりして、より複雑に働けるようになったとも考えられている。だから、原核細胞から真核細胞へと進化していくことによって、生物の仕組みも、だんだん複雑になっていったともいえるんだ。

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