天文写真 Pleiades星団
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★いまの星はむかしの光
「やあ!マータ、ようこそ!」
丸くて広いホールで、マータを出迎えたコスモス教授きょうじゅは、そういって右手をさしだしました。そういえば声が、どこかルタンに似にているようです。
「星はどうやってできたか?――それがマータの最初の疑問ぎもんだったね。それでは、さっそく〈宇宙うちゅう部屋へや〉へ案内しよう」
そういってコスモス教授は、ほの青くかがやいている長い廊下ろうかのほうへ、首をかたむけました。
「星っていうのはねマータ、どの星も同じように見えるけど、一つひとつはとてもはなれているんだね。マータがさっき見ていた星の光だが、じつはあれは、いまの光ではないんだよ」
「それって、どういうこと?」
「地球と星の距離きょりをどうはかるか、マータは知ってるかい?」
教授はいきなり、むずかしいことを聞いてきました。
「うーん……知りません」
「それは〈光年*〉という単位を使うんだ。つまり、1光年というのは、光の速さ(1秒間に30万km)で1年かかる距離のことなんだ。たとえば北極ほっきょく*は、1000年前の光が、いま地球にとどいているということになるので、北極星までは1000光年の距離があるというわけだ」
「1000年もむかしの光!」
マータには、とても信じられません。
「ほら、ここから〈宇宙の部屋〉へ入る。マータ、ぼくについておいで」
いったい、どんな部屋なのでしょう。マータは、長い廊下のつきあたりにある、やはり青い色にかがやいている大きな四角いとびらの中に、すうーっと消えていく教授を見て、ちょっとこわいような気持ちになりました。
マータが少しまよっていると、とびらの向こうからコスモス教授の手がまねいて、マータをよんでいます。
でも、こわいよりもわくわくした気持ちのほうが勝って、マータもその中へ、おそるおそる入っていきました。

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おうし座のプレアデス星団晩秋ばんしゅうの東の夜空に、ひときわ清らかにかがやきを見せる星の集まりで、日本では〈スバル〉とよばれ、平安へいあん時代の『枕草子まくらのそうし』にも“星はすばる”との記述きじゅつがある。