ようこそ!ミラクルミュージアムへ
この「ミラクルミュージアム」は、だれにでも見える博物館ではない。自然と仲よしの友だちの前にだけ現われてくる、とっておきの博物館なのだ。
★ルタン、あなたはだーれ?
「見てごらん、あれがミラクルミュージアムの入り口だ」
見えないルタンとのおしゃべりに気をとられていたマータが、はっとして目を移すと、そこにはさっきまで見かけなかった建物が、こつぜんと建っていました。
「えっ?ミラクルミュージアムって、いったいなんなの?」
「きみの疑問(に、なんでもこたえられる博物館さ。
そのためのいろんなしかけが、ぎっしりとつまっているんだ」
「すごい!じゃ、どんなこと聞いてもいいの?」
「どんなことでも、どうぞ。ただし、こたえるの
は、このミラクルミュージアムのコスモス教授(だ」
「えっ!ルタンはどうするの?」
「わたしか。わたしは“宇宙(そのものの時間”とでもいおうか。きみには見えない。でも、いつもきみといっしょの時間の中にいる。だから、もしわからないことがあったら、どしどしコスモス教授に聞いてくれたまえ……といっても、じつをいうとわたしは、あの博物館の館長でもあるんだが……」
「えーっ!? どういうことか、さっぱりわからない……」
といいながらも、マータの胸は、なんだかわくわくしてきました。
「ミラクルミュージアムについて少し説明するとだな、あの中には〈宇宙の部屋(〉〈太陽の部屋〉〈原始(の海の部屋〉〈原子の部屋〉〈物質の部屋〉〈生物の部屋〉〈恐竜(の部屋〉〈大気の部屋〉……〈地下の世界の部屋〉〈人類の部屋〉、えーと、それから〈未来の部屋〉と、いろいろな部屋がある。現在の科学で証明(されることは、なんでもこたえられるはずだ。さあ、どこへだって、きみの行きたい部屋へ案内してあげよう。……では、また会おう」
と言い終わらないうちに、ルタンの声は遠のいていきました。
そこには、さきほど知らぬまに現われた建物が、あいかわらず、ふしぎなたたずまいを見せています。
ちょっとこわい感じもしましたが、マータは勇気を出して、入り口をめざして歩きだしました。