セプコスキの大量絶滅事件
1980年代に古生物学者セプコスキは、それまでの化石産出データをとりまとめ、顕生代における生物多様性の変遷をグラフにしています。彼の得たグラフは、100年以上も前にフィリップが描いたグラフと基本的によく似ており、フィリップのグラフにみられる化石記録の減少時期は、顕生代の5大生物大量絶滅事件の4つに対応しています。
セプコスキは、顕生代の化石記録の多様性の変遷を調べ、3つのパターンに分けられることを見出しました。1つは、カンブリア動物群と呼ばれているもので、カンブリアの大爆発で飛躍的に多様性が増え、オルドビス紀には減少へと転じてしまうグループで三葉虫、エオクリノイド(棘皮動物)、が代表例です。2つ目は、オルドビス紀以降に多様性が増え、古生代末に激減するグループです。腕足類、苔虫類、花虫類などが代表例です。3つ目のグループは、中生代以降に多様性の増えるグループで、節足動物、二枚貝類、脊椎動物などが含まれます。
文献
Sepkoski Jr., JJ. 1981. A factor analytic description of the Phanerozoic marine fossil record. Paleobiology. 7, 36–53.
Raup, DM; Sepkoski Jr., JJ. 1984. Periodicity of extinctions in the geologic past. Proceedings of the National Academy of Sciences (USA), 81, 801–805.