太陽の半径
 
「マータ、地球と太陽と月でどれが一番大きいのはどれかね」
コスモス教授はマータに尋ねてみました。
「もちろん太陽!」
マータは得意げに答えました。
「そうだ。太陽が一番大きい。今度は太陽の大きさを調べてみよう。マータは真っ赤な夕日や黄色い色をした満月をみたことあるだろう。太陽や月の見かけの大きさは、見こみ角で測るんだ。その大きさは1度の4分の1なんだ」
マータは大きさを角度で表されていることにとまどった様子です。
コスモス教授は、パソコン画面に図を表示させて、どういうことか説明しています。
「月も太陽も見かけの大きさは同じ。月までの距離は38万キロ。太陽までの距離は1億5000万キロ。この図からわかるように、距離の分だけ太陽はデカい。月と太陽の大きさの比は15000を38で割ってみるとわかるように約400倍も違うんだ。月の半径は1700キロ。地球は6380キロだから、月は地球の4分の1。つまり、太陽は地球の100倍ってことになる」
そういってコスモス教授は鼻をピクピクさせました。
「次は太陽の重さなんだが。求める方法はわりと簡単な原理なんだが……。まあその話はやめておこう。ケプラーの法則をつかうとわけなく計算できるんだが……」
コスモス教授は話したい気持ちを押さえ気味に言いました。
「得られた値は地球の33万倍なんだ」
マータにはどれくらい重いのかまったく想像がつきません。
「コスモス教授、太陽は重い星なんですか?」
「さーて、どう説明すればいいかな? そうだ、太陽の半径は地球の100倍だってわかったね。ということは太陽のかさ(体積)は地球の100万倍ってことになる。かさが100万倍なのに、重さは33万倍。比重は重さをかさで割ったものだから、太陽の比重は地球の3分の1なんだ」
「大きいのに比重が小さいってことね」
「なぜかわかるかな?」
「う……ん……」
「それは水素とヘリウムのガスでできているってことなんだ。太陽は巨大なガスの玉。でも中心は高温高圧状態になっていて、温度は1千万度もあるんだ」
「それって、マグマよりも熱いのかなあ?」
「マグマの温度よりも1万倍も熱いんだ。それで太陽の中心部で水素原子核が4つ反応してヘリウム原子核ができている。その反応熱で太陽は明るく輝いているわけだ」
「へえー。そうなんだ」
「太陽は生涯を通じてこの反応を行って輝き続ける。だが、いつか燃料の水素がなくなるときが必ずやってくる。その時、太陽は一生を終える。まだ、50億年も先の話なんだが……・」
星にも一生があるわけをなんとなくわかったような気がしたマータです。

Copyright © 2002 Shin-ichi Kawakami(川上 紳一)