陸上への道

植物が陸上へ上陸するには多くの障害を乗り越えなければならなかった。
水中と違い、太陽からの紫外線が降り注ぐので、紫外線から細胞を守るため、表皮細胞はクチクラ層を持つ。クチクラ層は水や空気も通さない。しかし、光合成のためには二酸化炭素が必要なので、ガス交換のために気孔ができた。
生殖するためには、卵と精子が出会って受精することが必要である。精子はべん毛を使って水中で泳ぐ。しかし、陸上では水が乏しいため、胞子で増殖するようになった。乾燥に耐えるために、胞子は水を透さないスポロポーレニンで覆われた。
水分や栄養分を輸送する器官として維管束(仮道管)ができた。維管束の木部が硬いリグニンになると、強度が増し、高い木になることが可能になった。

陸上植物の祖先

ズーム
西田 治文. 植物のたどってきた道. 東京, 日本放送出版協会, 1998. p.41
ズーム
西田 治文. 植物のたどってきた道. 東京, 日本放送出版協会, 1998. p.41
陸上植物の祖先は、緑藻類のシャジクモCharaやコレオケーテColeochaeteであろう。現生のシャジクモやコレオケーテは淡水性なので、植物の上陸は、湖や池など淡水生息する緑藻が、乾燥環境へ適応したものだろう。