シダ植物

胞子で増える維管束植物

シダ植物は、コケ植物や藻類と同様、胞子によって殖える。花をつけないので、隠花植物もいう。
シダ植物は、マツバラン類・ヒカゲノカズラ類・トクサ類・シダ類の4群が属する。

シダ類

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ワラビ
写真: 岐阜大学教育学部
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シダ植物で最も進化したグループで、根・茎・葉の分化がみられる。また、管状中心柱という、よく発達した維管束を備えている。
通常みられるシダの植物体は、胞子体(2n)である。胞子体は、胞子のうの中で、減数分裂によって胞子(n)を作る。胞子は成長して、小型で葉状の前葉体(n)になる。前葉体はシダ植物の配偶体である。前葉体は、造卵器と造精器で卵と精子を作る。造卵器で受精してできた受精卵は、そのまま成長して胞子体になる。
シダ植物の前葉体は小さく、生活環の大半は、胞子体の世代である。
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ベニシダ類の1種
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ヒメワラビの1種

ヒカゲノカズラ類(Lycopsida)

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ヒカゲノカズラ
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タカネヒカゲノカズラ
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山地や山麓の林床でよくみかける植物である。
植物の葉には、小葉と大葉がある。小葉は、茎の小突起が発達したものである。大葉は、枝分かれした茎(軸)が集合し葉肉で包まれている。小葉はヒカゲノカズラ類に特有で、ヒカゲノカズラ類を小葉類とも言う。
現生のヒカゲノカズラ類には、ヒカゲノカズラ目・クラマゴケ目・ミズニラ目が属する。ヒカゲノカズラ目ヒカゲノカズラ属は、世界各地に広く分布している。
ヒカゲノカズラ類の茎は、原生中心柱という原始的な維管束を持つ。
デボン紀–石炭紀には、レピドデンドロンやシギラリアなど,ヒカゲノカズラ類の大型植物が大森林を作った。
いけばな小原流 > ヒカゲノカズラhttp://www.ohararyu.or.jp/kihondata/hikage.html
熊本大学 高宮研究室 > ヒカゲノカズラhttp://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~lycopod/study/docs/hikage.htm
中心柱
茎や根の中心部には、維管束からなる組織群があって、軸構造になる。この部分を中心柱という。
リニアやマツバランの中心柱は単純で、茎の中央に小さい維管束が1本あるだけだ。この中心柱を原生中心柱という。
シダ植物は茎が太く、中心柱は柔組織が発達し、維管束がリング状(環状)になる。これを環状中心柱という。葉が発達したシダ植物の中心柱は、維管束が環状に配列しており、網状中心柱という。
裸子植物と被子植物の単子葉類の維管束は、小型の維管束が環状に配列しており、真正維管束という。

マツバラン類(Psilotophyta)

マルバラン類は、又状に分岐する茎とそこから派生する小葉からなる原始的な体制を持つ。地下部には根茎が横に走るだけで、根や葉ははない。植物体が単純で、葉や根が発達していないのが特徴である。
茎に葉緑体があって光合成している。小葉部に胞子のうを形成して胞子で増える。
マツバラン属とイヌナンカクラン属が現生し、マツバラン属は熱帯から亜熱帯に,イヌナンカクラン属はオーストラリア、ニューカレドニア、ニュージーランドなどに分布する。
日本のマツバランは、園芸用として人々に親しまれている。
化石で見つかったライニー植物の特徴と類似していることから注目された。

トクサ類(Sphenophyta)

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写真: 岐阜大学教育学部
トクサ類に属するスギナは、ツクシとして知られる。
トクサ類は、胞子のう穂を持つ。ツクシは秋に芽を作り、はかまで覆う。胞子のう穂が白くなったものはすでに胞子を放出している。スギナは針状の葉で光合成している。
美祢市歴史民俗資料館 太古の生物のあゆみhttp://web.infoweb.ne.jp/minecity/park/plants/

草から木へ

植物は、二次肥大成長することで巨大になる。樹木には形成層があり、長年継続して、内向きに多量の二次木部(材)を作る。
寒暖などの季節変化がある地域では、特定の季節にしか形成層が働かないため、年輪ができる。
二次肥大成長した最初の植物は、デボン紀後期の前裸子植物のアルケオプテリスである。直径1.5m、高さは18mに達した。この他にもデボン紀のトクサ類やヒカゲノカズラ類も二次肥大成長した。

胞子から種子へ

植物の胞子には、同型胞子と異型胞子がある。異型胞子には大小はないが、異型胞子には大きなものと小さいものがある。種子植物への進化の過程で、胞子のうに留まった大型の胞子は種子に、別の植物体に渡る小型の胞子は花粉になった。