「星の観察からわかることはまだまだあるんだ」
コスモス教授はもったいぶった口調でマータに話しかけました。
「星の観察からわかること……」
マータにはピンとこないようです。コスモス教授は続けます。
「色の測定だ。星には青白い星。赤っぽい星があっただろう」
「あっ! そうか」
「マータが知っている青白い星はなんだい?」
「そうね~。オリオン座のシリウスかな?」
「じゃあ、赤い星は?」
「う~ん。立山で教えてもらったさそり座のアンタレス!」
「おお、よく覚えていたね。今日は星の色の意味を学ぶんだ。マータ。太陽は何色かな?」
「白じゃないかな?」
マータは自信なさそうに言いました。
「そう。太陽はちょっと黄色い白色の恒星なんだ。
日本の子どもたちはよく、お日様を赤くぬるけどね。アメリカの子どもたちは、黄色く描くことが多いんだ。文化のちがいなんだね」
マータは日本の子どもとアメリカの子どもで太陽の色が違うって聞いて、びっくりしてしまいました。
「さて、太陽からくる光は白いけど、実際にはいろんな色が混ざっているんだ。マータは虹を見たことがあるだろう。赤、オレンジ、黄色、緑、青、藍それに紫だったね。雨粒のいたずらで太陽の光が七色に分かれてできるんだ」
「きれいな虹……また見たいな」
「実は星からの光もいろんな色の光が混ざっている。それで青白い星からくる光には青い光が多くて、赤い星からくる光には赤い光が多いってことなんだ。光をいろんな色の成分にわけて表したものをスペクトルって呼んで、天文学者は星のスペクトルを測定して恒星の性質を調べているんだね」
「スペクトル……」
マータは初めて聞く言葉にまたちょっととまどいました。
コスモス教授は続けます。
「実は、こうした色の違いは星の表面の温度で決まっているんだ。太陽は黄色みがかった白色なんだが、それから太陽の表面の温度が約6000度ってことがわかる。赤い色をしたアンタレスは3000度ぐらいしかない。シリウスは1万度以上もある高温の星なんだ」
マータは、星の色から温度がわかると聞いて、びっくりしてしまいました。
温度は温度計で測るものだとばっかり思っていたからです。