歴史的経緯

アッシャー大司教の推定

1654年、アッシャー大司教Archbishop James Ussher, 1580–1655, アイルランドの宗教家〕は、聖書の記録を忠実に遡り、神が天地創造をしたのは、紀元前4004年10月22日だとした。

ハットンの斉一説

19世紀の終わりに、ハットンJames Hutton, 1726–1797, スコットランドの地質学者〕は“宇宙と地球の歴史は果てしなく長く、始まりも終わりもない”と考えた。そして、“地球表層で現在起こっている現象は、過去もずっと同じように起こってきた”とする斉一説を唱えた。
彼は、イタリアの火山活動を目の当たりにし、1年間におこる地形の変化は小さく、地球の歴史が果てしなく長いことをに気づいた。しかし、これは聖書と矛盾していた。ハットンは、“聖書は比喩に過ぎず、創造主の理性は自然界に満ちあふれている”とする理神論の立場をとった。
ハットンの考えは、プレイフェアJohn Playfair, 1748–1819, スコットランドの数学者〕とライエルSir Charles Lyell, 1797–1875, イギリスの地質学者〕へと受け継がれた。ライエルの『地質学原理』は、ダーウィンCharles Darwin, 1809–1882, イギリスの生物学者〕に多大な影響を与えた。

ケルヴィンの方法

ケルヴィン1st Baron Kelvin, aka William Thomson, 1824–1907, スコットランドの物理学者〕は、熱力学の基礎を作った人物である。彼は、“誕生したときには地球は溶融状態で、徐々に冷えて現在にいたったと”考えた。物体の冷却率は、物体の大きさ・比熱・熱伝導率で決まる。彼は、これを熱力学の問題として解いた。その結果、地球の年齢は約2000万年となった。
しかしこの値は、地質学者の見積もりよりはるかに若かった。