海水中のホウ素同位体比
ホウ素には、質量数10と11の2つの天然同位体がある。ホウ素は海水中ではB(OH)4-とB(OH)3として存在しているが、その相対存在度はpHに大きく作用される。B(OH)4-には質量数の小さい10Bに富む傾向があり、B(OH)3に対するB(OH)4-の分別は、-19.8‰である。したがって有孔虫の炭酸塩骨格に取り込まれているB(OH)4-の同位体比を測定すれば、その値から水のpHを逆算できる。
図1(a)は、pHに対するB(OH)3とB(OH)4-の割合で、(b)はそれぞれのホウ素同位体比がpHとともにどのように変化するかである。現在の海水のホウ素同位体比は+40‰で、炭酸塩鉱物のホウ素同位体比は+22~+23‰である。この値は炭酸塩鉱物の種類によらない。(Hemming and Hanson 1992)。
文献
Sanyal, A; Hemming, NG; Hanson, GN; Broecker, WS. 1995. Evidence for a higher pH in the glacial ocean from boron isotopes in foraminifera. Nature, 373, 234–236. [abstract]