さらなる過去へ
Pearson and Palmer(2000)は、海底堆積物に含まれる有孔虫化石から、過去6000万年間にわたる古海水のpHを推定した。彼らは、「この期間を通じて海水中のアルカリ度などが変化しなかった」として、さらに大気中の二酸化炭素分圧を見積もり、古気候データと比較した。
図1は、ホウ素同位体比から得られたpHである。このデータから、当時の大気中の二酸化炭素濃度を推定するには、アルカリ度、水系二酸化炭素濃度、
DIC(溶存無機炭素)濃度の値が必要である。しかし、過去の海水組成に関する情報は
CCD(炭酸塩補償深度)にかぎられる。そこで、「CCDより500 m浅いリソクラインにおいて海水がカルサイトに対して飽和している」と仮定し、「アルカリ度とDICの深度変化が現在の海水と同じだ」として、海水表面における値を推定した(図2)。
図3が、このようにして、pHとアルカリ度から求められた大気中の二酸化炭素濃度である。
文献
Pearson, PN; Palmer, MR. 2000. Atmospheric carbon dioxide concentrations over the past 60 million years. Nature, 406, 695–699.