氷期‐間氷期サイクルと海水のpH

南極のボストーク基地からの氷床の分析により、氷期‐間氷期サイクルにともなって、大気中の二酸化炭素濃度が大きく変化したことがわかった。大気中の二酸化炭素濃度の変化によって海水のpHも変化した可能性がある。

コロンビア大学ラモント‐ドハティ地球観測所のSanyal et al. (1995)は、海底堆積物中の有孔虫化石をとりだし、ホウ素同位体比を測定した。彼らは、有孔虫を、浮遊性のものと底生性のものとに分類し、表層海水と深層海水のpHの違いにも注目した。

その結果、氷期の有孔虫化石は、現在より系統的にホウ素同位体比が大きくなっていた。その差から、氷期には現在よりも、表層海水のpHは0.2、深層海水のpHは0.3ほど高かったことが示唆された。