増加する温室効果ガス

過去150年間の温室効果ガス濃度の推移。ズーム
過去150年間の温室効果ガス濃度の推移。
最近数十年(黒線)は現場大気の実測値、それ以前は氷床中の気泡の分析値。
Hansen et al. 1998
地球大気に存在する気体のうち、温室効果を持つものに、CO2 (二酸化炭素)、CH3 (メタン)、NO2 (一酸化二窒素)、CFC (フロン; クロロフルオロカーボン)がある。温室効果ガスは産業革命以後、急激に増加した。このことは、大気そのものの継続的分析や、南極の氷床コアから明らかになった。図に、温室効果ガスの経年変化を示す (Hansen et al., 1998)。CO2濃度は産業革命前の280 ppmv (体積100万分率) から1997年の364 ppmvへ、メタン濃度は700 ppbv (体積10億分率) から1721 ppbvへ、NO2濃度は275 ppbvから312 ppbvへと増加した。CFC濃度は1960年代から急激に増えたが、現在では、1987年のモントリオール議定書により規制されている。
温室効果ガスの増加の原因が、人類による化石燃料の消費や森林破壊であることは疑いない。とりわけ量の多いCO2は、現在も1年あたり7.5 Gt (106 t = 109 kg)が人間活動によって排出され続けており、排出を大幅に抑制しないかぎり、今後数百年、排出量も大気濃度も増え続ける。しかも、CO2は大気中で安定なので、炭素循環の時間スケールは長く,排出量を減らしても、濃度が元どおりになるまでに長い年月を要する。したがって、温室効果ガス濃度の長期予測は、100~1000年先の地球の気候を予測する重要な鍵となる。
文献
Hansen, J.M. et al. 1998. Climate forcings in the industrial era. Proceedings of the National Academy of Sciences. 95(12), 753–758