近未来の気候変動を予測する

近未来の温度変化の大きさを、原因別に見積もると、人間活動による温室効果ガスによる温度上昇は、火山噴火や太陽光度による気候変動よりも1桁近く大きい。温室効果の評価が、気候変動予測の中心である。
気候モデルにれば、大気中のCO2(二酸化炭素)が4倍になると、地球表面の平均気温は4~6℃上昇する。これは、中生代白亜紀(約1億年前)以降での最大の温暖化事件かもしれない。

気候変動を引き起こす要因

まず人間活動以外の原因を挙げよう:
これに対し、大気中へ蓄積されるCO2による平均気温上昇は、IS92a(現在と同様の経済成長が続くモデル)では、今後100年で1.4~5.8℃になる。これは、ほかの変動要因よりきわめて高い。
ただし、この予測では、人間活動によるエアロゾルや雲の影響は考慮されていない。エアロゾルや雲の増加は寒冷化を促す(Hansen et al., 1998; Rotstayn, 1999)が、その評価はまだあまりなされていない。

22世紀に気候はどうなるか

今後50~100年の気候変動を精度よく予測するため、精力的に研究がされている。地球温暖化問題も、やはり、2100年までを目安に検討されることが多い。
しかし、人類の未来は2100年が到達点ではない。それより先の未来に気候がどうなるかが、千年持続学の枠組みでは重要になる。
IS92a(前述)によると、大気中のCO2濃度は2100年以後も増え続け、現在の4倍になる可能性がある。このばあい、平均気温は4–6℃上昇する。これは過去1000万年間で最も高い気温レベルである。海水準は1–2 m上昇する。また、気候の地域変化も大きい。地球平均よりも温暖化が激しい高緯度や内陸部には穀倉地帯が多く、水資源の枯渇なども複合して世界の食糧生産にも大きな影響が出ると予測される(ICPP報告書)。22世紀にはまだ人口問題は解決されていそうにないので、住民の多い海岸平野の水没や、農耕に適した地域の北進は、地域紛争の原因になりかねない。
文献
Briffa, KR. 2000. Annual climate variability in the Holocene; interpreting the message of ancient trees. Quarternary Science Reviews. 19, 87–105.
Hansen, JE; Sato, M; Ruedy, R; Lacis, A; Glascoe, J. 1998. Global climate data and models: A reconciliation. Science. 281, 930–932.
Mann, ME; Bradley, RS; Hughes, M.K. 1999. Northern Hemisphere temperatures during the past millennium: Inferences, uncertainties, and limitations. Geophysical Research Letters, 26, 759–762. [the whole (PDF)]
Rind, D; Overpeck, j. 1993. Hypothesized causes of decade‐to‐century-scale climate variability: Climate model results. Quaternary Science Review. 12, 357–374. [abstract]
Rotstayn, LD. 1999. Indirect forcing by anthropogenic aerosols: A global climate model calculation of the effective‐radius and cloud‐lifetime effects. Journal of Geophysical Research. 104, 9369–9380.