酸素の歴史
現在の地球大気は1013 hPa(1気圧)で、その成分は約80%が窒素、約20%が酸素です。この大気組成は、太陽系の他の惑星と比べて特異です。
たとえば、金星の大気は90気圧もありますが、その主成分は二酸化炭素です。火星の大気は7 hPaしかありませんが、やはり主成分は二酸化炭素です。
かつて、原始地球の大気組成は、木星や土星と似て、水素、アンモニア、メタンなどだ考えられていました。しかし、1980年代になって惑星探査が進み、地球型惑星の化学組成は水蒸気や二酸化炭素が主成分だと考えられるようになりました。水蒸気はやがて凝結して雨となって地表に降り注ぎ、海洋を生み出しました。二酸化炭素は生物の光合成によって有機物になったり、カルシウムなどの陽イオンと結びついて炭酸塩岩になりました。
地球の大気に固有の成分に酸素があります。酸素は植物の光合成によって生み出されました。光合成をして酸素を発生する生物は植物がよく知られていますが、原核生物のなかにも光合成を行う微生物がいます。シアノバクテリアです。かつては光合成を行うことから藻類の仲間に分類され、ラン藻と呼ばれていましたが、最近は藻類などの真核生物とは全くことなる細胞形態をしているバクテリアなどの原核生物に分類されるようになり、名前もシアノバクテリアとかラン色細菌と呼ばれるようになりました。