カスティングの大気進化モデル

Kastingによる、地質時代の、大気中のO2レベルの推移の推定。Kasting  1993ズーム
Kastingによる、地質時代の、大気中のO2レベルの推移の推定。
Kasting 1993
現在の推定。ズーム
現在の推定。
大気化学者のカスティング(James F. Kasting)は、地球化学モデルで原始地球大気における分子状酸素の存在度を見積もりました。
光合成生物の出現以前でも、太陽の紫外線によって大気上層の水蒸気が分解され、分子状の酸素が生成されていたと考えられます。しかし、もし、水蒸気の分解でできた酸素と水素が反応してしまうともとどおりです。ですが、実際には、水素は軽いので、生成した水素の一部は宇宙空間に散逸し、酸素が余ります。
カスティングは、水蒸気の光分解で生成する酸素量を、水素の散逸量から見積もりました。ですがその量は、マントルから脱ガスして出てくる水素や一酸化炭素と反応してしまうていどしかなかったため、大気中にはごく微量の酸素しか存在しなかったとしました。
文献
Kasting, JF. 1987. Theoretical constraints on oxygen and carbon dioxide concentrations in the Precambrian atmosphere. Precambrian Research. 34, 205–229.