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金星の動きと形の変化
中学校理科授業における実践


生徒の反応

授業の最後に、生徒に本授業の感想を述べてもらった。金星の形を観察できてうれしかったなどの反響は大きかった。以下に生徒の感想からいくつかピックアップしよう。

 「金星が地球よりも内側を、そして短い周期で公転していることがよくわかった」
 「実際に見てみると、よくわかる。普段はあまり気にしていない宵の明星とかいうのも、実際見てみなきゃわからない動きが見れて楽しい」
「この授業を通して、星を観察するのがとてもおもしろくなりました。しかも金星の大きさ、満ち欠けが一番変わる時だったからなおさらです」
 「望遠鏡では、星にあわせるのに20〜30分かかって大変だったけど、実際に欠けているところが見えたので、よかったと思います」
 「双眼鏡で金星の観測をして本当に欠けていたのにはうれしかったです」
「双眼鏡や望遠鏡で見たら半分くらいかけていた。普通に見てみるとまったく欠けているが分からないから、人の目は正確じゃないと思った」
「宇宙のことを考えるだけでなんだかドキ×2するし、わく×2する。こんなにじっくり観ることはないかもしれないけれど、ぜひぜひ土星や木星もみてみたい。衛星やリング発見したら感激ですね。」

 これらの感想から、日ごろあまり気にしていなかった宵の明星である金星が、満ち欠けしたり、大きさが変わったり、位置が変化することをじっくり観察したことで、身近な存在になったことがわかる。さらに、実際に双眼鏡や天体望遠鏡で天体を観察することで、木星や土星など、ほかの天体現象に関する興味が高まったこともわかる。

 「3月6日にみたら、金星がほぼ西に移動していたので驚きました。この後も、ひまがあればみたいと思います」
 「大学の望遠鏡や手作り望遠鏡で観察することにより、日ごとに変化が発見でき、観察する楽しさが分かってきました」
「今まで観測を長い間続けたことがなくて、全部資料とかで調べていたけど、ずっと金星を観測してきて、実際に自分で調べたら、楽しかったし、動きとかも、資料で調べたりするより、自分なりによく理解できたから、観測することは大切だと思った」

 これらの感想からは、継続的な観察によって、自然現象の移り変わりに気づき、興味が増したことが読みとれる。

  「この授業から、自分の目で見る大切さや、続けて観察する大切さを学びました」
 「やはり自分で見てみることが大切だと思ったし、もっと多くの星についても調べてみたいと思うようになった」
 「観察した後、インターネットで見たりすると、自分の結果と比べたりできるので、そういう情報も大切だと思う」
 「理科は事実が大切(事実の方がわかりやすい)なので不思議に思ったことを、家でも確かめていきたい。けっして鉛筆とノートだけの勉強にならないように、今日のことを忘れずにしていきたい」

 これらの感想からは、授業で習う内容を資料等で調べるだけでなく、実際に体験を通じて確認することで、理解が深まることがわかる。また、インターネットの利用のあり方についても、生徒は学習者の立場から現実体験の方を重視すべきであることを示唆していることは興味深い。


[はじめに]
[1.金星の満ち欠けを観察しよう]
[2.双眼鏡を使ってみませんか]
[3.天体望遠鏡はすごい!]
[4.指導計画]
[5.双眼鏡とにぎりこぶし法でチャレンジ]
[6.天体望遠鏡の組み立てキットがあった]
[7.天体望遠鏡を作る]
[8.やせ細った金星]
[9.まとめの授業]
[10.生徒の反応]
[11.授業をおえて]
[おわりに]