バージェス動物群

緯経度
北緯 51°30′ (+51.50°)
西経 116°50′ (-116.83°)
, バージェス登山道 (地図より)

多細胞生物の大繁殖と‘カンブリア大爆発’ (6億–5億3000万年前; 40歳)

“‘全球凍結’(→項目5) の直後に‘多細胞生物’の出現と多様化が見られる”という事実は、地球規模の環境危機と生物の大絶滅がここでも新たな生命進化のトリガーになった可能性を示唆しています (カタストロフィー的地球観・進化観)。
そして、‘カンブリア大爆発’と呼ばれる華々しい生命デザインの多様化実験は、“現在私たちがこの地球で眼にしている生物たちが生命の可能態のすべてではない”ということ、“生命は私たちが考えるよりもっともっと多彩でラディカルなのだ”ということを教えてくれます。
1908年,古生物学者ウォルコットは,カナダの山中に頁岩層を発見し,登山道の名前からバージェス頁岩と名づけました。頁岩とは,本のページのような岩という意味で、一枚一枚紙のようにはがれることからきた呼び名です。そして,そのページの間に,ふつうなら化石にならない柔らかい生物の化石が残っていることがあります。バージェス頁岩に残っていたのは,はるか昔・カンブリア期の化石で,原生動物の最も古い祖先と,原生動物とははかなり異なる動物とを含んでいました。
[画像提供 : 生命の海科学館]
アノマロカリスは,硬い殻を持つため,バージェス頁岩より前,1886年に化石が発見されました。甲殻類の胴体と思われたので,‘奇妙なエビ’という意味で‘アノマロカリス’と名づけられました。ですがその後、この構造は,もっと大きな動物の付属肢(腕)だったことがわかりました。命名の規則により,‘アノマロカリス’ はその大きな動物の名前になりました。
アノマロカリスは体長50cm–1m、カンブリア紀最大の捕食動物です。現生動物との類縁関係は不明です。
[画像提供 : 生命の海科学館]
1912年,最初に発見されたバージェス動物群の1つです。当初は三葉虫の一種と考えられましたが,のちに,(節足動物ではありますが) 節足動物内のどのグループにも属さない,ユニークな生物だということがわかりました。
[画像提供 : 生命の海科学館]
ハルキゲニアは,1977年に発見されました。胴体から7対の硬い刺が生えていて,足だと思われました。しかしのちに、細く柔らかい足が反対側に見つかり、刺は実は背中に生えていたということがわかりました。
体長は約3cm,有爪動物門(カギムシのなかま)に属します。。
[画像提供 : 生命の海科学館]
カンブリア期には,現在の動物の祖先たちが出揃いましたが,子孫を残さず絶滅した動物もいます。アノマロカリスやオパビニアのような捕食動物や,ピカイアのような泳ぐ動物も現れました。
[Erwin, J.V.D.; Jablonski, D. The Origin of Animal Body Plans, ‹American Scientist›, vol. 85, p. 129]