チクシュルブ・クレーター

緯経度
北緯 21°20′ (+21.33°)
西経 89°30′ (-89.50°)

恐竜を絶滅させた天体衝突(6500万年前)

世界各地で,K/T境界層 (K/T : 白亜紀と第三紀) が研究された結果,6500万年前に天体衝突があったことが,徐々に明らかになってきました。
残る大きな課題は、このときの衝突でできた衝突構造を発見することです。
1980年代後半になって、アメリカ南部・メキシコ・キューバなどのカリブ海沿岸地域に,天体衝突の際に発生したと思われる巨大津波の作用で形成された,K/T境界の地層が発見されました。これらの地層は、天体衝突がカリブ海周辺であったことを示唆していました。
キューバ西部に露出する,層厚700m以上の世界一巨大なK/T境界津波堆積層です。その最下部は,基質がほとんどない礫層で,きわめて特異な様相を呈しています(写真は河川沿いに露出する最下部層)。イリジウム濃集層はありませんが,それは最上部が剪断帯になって細かい地層が失われているからです。
[田近英一]
津波により巨大な礫が運ばれ,写真のような礫岩となりました。このような津波堆積物がカリブ海沿岸各地で発見されたので,“K/T大量絶滅をもたらした天体衝突はこの近くで起こった”という説が有力になってきました。
[田近英一]
[Hildebrand, A.R. and Pilkington, M., “Structure of the Chicxulub Crater”, ‹Catastrophic Events Conference›]