人類の出現

緯経度
北緯 11°35′ (+11.58°)
東経 41°23′ (+41.38°)
, アサイタ (アファール州の州都)

人類の誕生 (500万年前)

東アフリカの大地溝帯は、(ヒマラヤとは逆に) 大地を両側に引き裂くプレート・テクトニクス運動がダイナミックに可視化された、世界でも最大規模の‘大地の裂け目’です。
この地殻変動がもたらした大規模な気候変動により、その東側の熱帯林が草原化し、森の類人猿の一部は新たな環境に適応せねばならなくなりました。それが、‘ヒト’の祖先がチンパンジーの祖先から分岐して進化の大ジャンプを敢行する引き金になったと考えられています。
ヒトへの進化を特徴づける‘直立歩行’の起源については、草原環境への適応だけでは説明できず論争が続いていますが、いずれにしても,直立二足歩行によって‘手の自由’,‘脳容積の増大 (大脳化)’,そして,分節的な音声言語を操るのに必要な‘口腔空間の拡張’という3つの飛躍への基盤が整えられました。
アフリカの大地溝帯。巨大な正断層系でが特徴的な大地の裂け目です。まさに大陸が分裂を開始しようとしているところです。アフリカは人類発祥の地で、大地溝帯にそった各地で人類化石の発見があいつぎました。写真は,エチオピアのアファール地方にあるハダール山地です。
[フィレンツォ・ファッキーニ. 人類の起源. 片山一道 訳. 東京, 同朋社出版, 1993, p. 19]
1974年,アウストラロピテクスの新種の化石が発見されました。化石は女性で,ルーシーと名づけられ,たいへん有名になりました。この発見により,人類の歴史は約400万年前までさかのぼれるようになりました。アウストラロピテクス・アファレンシスは二足歩行し、類人猿より明らかに大きな脳をそなえていました。
[写真: D. Brill(P), from 諏訪 元. “化石に見る人類の進化”. 朝日百科 動物たちの地球. 東京, 朝日新聞社, 1994, p. 14.68]
まもなくアフリカ大地溝帯で,2足歩行の足跡化石が発見されました。この発見で,アウストラロピテクス・アファレンシスが完全な2足歩行をしていたことが確実になりました。
アフリカでは,人類の起源を書き変えるような化石の発見が続きました。それらの化石の多くがアフリカ大地溝帯に分布しています。最初の発見地は南アフリカの洞窟でした。ここで発見された化石は,類人類と人類の中間的な骨格を持っていて,‘アウストラロピテクス・アフリカヌス’と名づけられました。
[based on: Johanson, D. ルーシーの子供たち. 堀内静子 訳. 早川書房, 東京, 1989, p. 21]
1959年、タンザニアのオルドゥヴァイで大柄な猿人パラントロプス・ロブストゥスが発見されました。人類の歴史の中では,パラントロプスのような,現生人類の祖先ではないヒトも多数生まれました。写真は,初期のパラントロプスである,パラントロプス・ エチオピクスです。
[フィレンツォ・ファッキーニ. 人類の起源. 片山一道 訳. 東京, 同朋社出版, 1993, p. 74]
ジャワ原人、北京原人と俗に呼ばれる化石人類は、ホモ・エレクトゥスに属します。ホモ・エレクトゥスの体のつくりはかなり現代人に近く,石器を使用し、狩猟をおこなっていました。ホモ・エレクトゥスの出現は120万年前で、100万年前には,アフリカだけでなく全アジアに広がりました。