ハマースレー

緯経度
南緯 22°20′ (-22.33°)
東経 117°58′ (+117.97°)
, ハマースレー (都市)

酸素は生命が作った ! (光合成の開始) ~オーストラリア縞状鉄鉱床~ (27億年前; 19歳)

このころ突然、地球に強い磁場が発生し、地表面はこの‘磁気圏’のバリアによって有害な宇宙線や太陽風から守られることになりました。巨大大陸の成長ともあいまって、豊かな太陽の光が降りそそぐ浅い海が新たな生命進化と繁殖の舞台となり、太陽光を利用した‘光合成’という画期的な生命エネルギー革命が進行しました。
しかし、それは同時に,‘酸素’という、それまでの地球にほとんどなかった有害な副産物を大量に生みだし、地球環境に大変動をもたらしました。
ちなみに,現在、私たちが利用している‘鉄’資源のほとんどは、この頃を中心に光合成生物が出した酸素が海中の鉄分を酸化させ、海底に沈殿させた縞状鉄鉱床を採掘したものです。
人工衛星ASTERでとった写真です。緑色に映っている地層が縞状鉄鉱床で,地球史の大事件が記録されています。
[画像提供 : ERSDAC]
地上に降り立つと、赤茶けた大地が広がっています。鉄が酸化されてできた鉱物の色で、この地域には大規模な鉄の鉱床が分布しています。 自動車などの鉄でできた製品の原料のほとんどは、地球が若いときにできた鉄鉱石なのです。
[写真提供 : 平田大二(神奈川県立生命の星地球博物館)]
近づいてみると,鉄鉱石の地層には縞模様があります。鉄に富んだ地層とシリカ(二酸化ケイ素)に富んだ地層がくり返しているのです。 鉄は,海水中に溶けていた鉄が酸化して沈殿したものだと考えられています。
[写真提供 : 平田大二(神奈川県立生命の星地球博物館)]
地球ができたとき,大気中にはほとんど酸素はありませんでした。今の地球に豊富にある酸素は、植物や一部の細菌の光合成によるものです。 25億年前ごろ地球の海岸線一帯には、この写真のようなストロマトライトがいたるところで作られました。 その表面に付着しているシアノバクテリアが,光合成をして酸素を発生させたのです。
シアノバクテリアが作った酸素は、当時の海水中に溶けていた鉄を酸化させました。 その結果形成されたのが縞状鉄鉱床です。 25億年前から19億年前にだけ縞状鉄鉱床が大規模に形成されていることは、この時期、海洋が酸素の乏しい状態から酸素が豊富にある状態へと移り変わったことを意味します。
地質学者は、縞状鉄鉱床や赤色砂岩のような地層の形成年代を調べ大気中の酸素濃度の変遷を復元します。 図のように、酸素は23億年ごろに急増し、その後も増加を続けていきます。 こうした地球環境の変化と相まって、地球の生物もバクテリアから単細胞の真核生物へ,さらに多細胞生物へと進化していきました。
[イミダス2002年度版より]