エディアカラ生物群

緯経度
南緯 30°31′ (-30.52°)
東経 138°25′ (+138.42°)
, レイ・クリーク

多細胞生物の大繁殖と‘カンブリア大爆発’ (6億–5億3000万年前; 40歳)

“‘全球凍結’(→項目5) の直後に‘多細胞生物’の出現と多様化が見られる”という事実は、地球規模の環境危機と生物の大絶滅がここでも新たな生命進化の引き金になったという可能性を示唆しています (カタストロフィー的地球観・進化観)。
そして、‘カンブリア大爆発’と呼ばれる華々しい生命デザインの多様化実験は、“現在私たちがこの地球で眼にしている生物たちが生命の可能態のすべてではない”ということ、“生命は私たちが考えるよりもっともっと多彩でラディカルなのだ”ということを教えてくれます。
南オーストラリアのフリンダース山地は、約6億年前の堆積物が褶曲してできた山脈です。 写真中央部を東西に走る河川にそって,厚い堆積物を調べることができます。この山中から,エディアカラ生物群と呼ばれる,ヴェンド紀(先カンブリア時代の末期)の多細胞生物の化石が見つかりました。
[画像提供 : ERSDAC]
西の平地からフリンダース山地を見ています。この山から化石が発見されたエディアカラ生物群は,バージェス動物群や澄江動物群より古い5億6000万年前のもので,原生のどの多細胞生物とも多くの点で異なります。
[写真提供 : 生命の海科学館]
褶曲によって斜めに傾いた地層です。エディアカラ化石はこの地層(砂岩)から発見されました。硬い殻をもたない生物が砂岩の中で化石となることは、極めて希なことです。
[写真提供 : 生命の海科学館]
エディアカラで見つかった,ディッキンソニアの化石です。この試料は直径10cmていどですが、なかには1mに達するものもあります。薄っぺらい形をしていて、現在の地球には似た生物はいないという研究者もいれば、環形動物 (ミミズやゴカイの仲間) であるという研究者もいます。
[写真提供 : 生命の海科学館]
ナミビアで発見された化石です。エディアカラ生物群に特有の,薄い体と,細長い細胞のような構造が確認できます。
[by 大野照文, 京都大学総合博物館教授]
ナミビアで発見された化石です。この属は,アメリカ合衆国とメキシコでも見つかっています。
[by 大野照文, 京都大学総合博物館教授]
1960年代にナミビアで初めて記載されました。硬い殻をもつ最古の多細胞動物と考えられています。
[by 大野照文, 京都大学総合博物館教授]
先カンブリア時代の地球には,ディッキンソニアのような海底を這う生物,エオポルピタのような浮遊生物,カルニオディスクスのような着生生物がいました。しかし,活発に動く生物はまだいませんでした。
[Erwin, J.V.D.; Jablonski, D. The Origin of Animal Body Plans, ‹American Scientist›, vol. 85, p. 128]