最古の真核生物

緯経度
北緯 46°37′ (+46.62°)
西経 87°37′ (-87.62°)
, ネゴーニー

真核生物の出現と「共生進化」 (21億年前; 25歳)

環境危機は往々にして新たな生命進化のトリガーとなります。光合成生物の繁殖がもたらした‘酸素汚染’(→項目3) の場合も、この有害な廃棄物を逆手にとってエネルギー資源として活用する‘呼吸’という新技術をもつバクテリアの誕生につながりました。
また、そうした酸素呼吸型の生物が他の微生物の体内に寄生・共生するというパターンも生まれました。 たとえば,私たちの体内のミトコンドリアもその子孫です。この共生生物のおかげで,私たちも酸素を呼吸して生きることができます。
これと並行して、細胞内で酸素から遺伝子を保護するための‘核’というデータ・バンクの形成も促され、遺伝子の飛躍的な増量と複雑化をともなう‘真核生物’の進化につながったと考えられます。
アメリカの鉄鉱床の山地で,グリパニアという化石が見つかりました。グリパニアはリボンのような形をしていて、大型の化石としては最古のものです。原核生物はこんなに大きくなることはできません。グリパニアは,最古の真核生物 (核をもった生物)だと考えられます。
[画像提供 : 生命の海科学館]
グリパニアの化石の産地で,21億年前の地層です。
[画像提供 : 生命の海科学館, Souce by Nate Wilke]
シアノバクテリアが繁殖した結果、地球の大気や海洋では酸素が次第に増えていきました。生物は,有毒な酸素から遺伝情報を守るため、遺伝子を膜で包み込み,核を作りました。真核生物の出現です。
[イミダス2002年度版より]
真核生物は,地球表層環境に酸素が増えるなかで、酸素から身を守るために細胞のつくりを変えていく中で生まれました。シアノバクテリアの光合成は地球環境を変え、その変化した地球環境に生命が適応したのです。
[画像提供 : 生命の海科学館]
ミトコンドリアは,酸素呼吸を行うバクテリアに由来します。酸素呼吸するバクテリアが真核細胞の中に進入し、その中で共生するようになりました。共生したバクテリアは,遺伝子のほとんどを失ってミトコンドリアになりました。その後、光合成をするバクテリアが入り込み、細胞内で共生を始めました。このバクテリアもやがて遺伝子のほとんどを失って,葉緑体になりました。
[朝日百科 動物たちの地球. 東京, 朝日新聞社, 1994, p. 11.42]