植物の陸上への進出

緯経度
北緯 57°20′ (+57.33°)
西経 2°50′ (-2.83°)
, ライニー

生物の陸上進出 (4億年前; 42歳)

光合成生物が生みだした‘酸素’(→項目3)は、次第に大気中にも広がり、太陽系において地球の大気組成の異例な特徴となりました。そして、酸素分圧が飽和状態に近づくと、OからO(オゾン)が生まれ、成層圏にオゾン層が形成されました。
27億年前ごろの‘地球磁場’の生成に続き、地表面の生物を紫外線から守るこの新たなバリアの出現によって、はじめて大陸は生命が繁殖しうる環境となり、まず植物が陸上への進出を果たしました(陸上生態系の誕生)。
新たな生物の出現が地球環境を変え、またそれが新たな生命進化のトリガーになるという‘地球と生命の共進化’のドラマの連鎖を,そこに見ることができます。
20世紀の初めに、イギリスのスコットランドで,植物の起源を探るうえで貴重な化石が発見されました。ライニー・チャートという地層からみつかったので、リニアと名づけられました。写真はライニー・チャートのあるライニー村です。
[Steur, H., Hans' Paleobotany Pages http://www.xs4all.nl/~steurh/, 2000]
1980年代に、ライニー・チャートの植物化石が再検討されました。これまで維管束をもつとされていた植物の中に、維管束のないものもあることがわかりました。それらはリニアから分離され,アグラオフィトンと名づけられました。現在の維管束のない植物としては,コケ植物があります。
[Steur, H., Hans' Paleobotany Pages http://www.xs4all.nl/~steurh/, 2000]
アグラオフィトンには、根や葉の発達がみられず、細い茎の先端に胞子嚢がついています。この植物は,最古の陸上植物化石であるクックソニアとも近縁で、合わせてリニア状植物と呼ばれます。リニア状植物は陸上植物の祖先だと考えられています。
[Edwards, D.S. (1986)]
リニア状植物から進化した植物に,プシロフィトンがあります。1857年にカナダの博物学者のドーソンが発見し、この発見が植物の起源と進化の研究を活発にしました。プシロフィトンは,似た植物と合わせてトリメロフィトン類と呼ばれます。
[西田治文. 植物のたどってきた道. 東京, 日本放送出版協会, 1998, p. 30]
トリメロフィトン類から,シダ植物や裸子植物が進化しました。古生代には,シダ植物の大森林ができました。ヒカゲノカズラ類とよく似たリンボクは大きく成長し、高さ40mにもなりました。頂部にヒカゲノカズラ類とよく似た小さい葉があります。
[西田治文. 植物のたどってきた道. 東京, 日本放送出版協会, 1998, p. 120]
古生代には,リンボクのほかに,ツクシやトクサの仲間であるロボクも繁栄しました。これらは沼沢地に生え、巨大な森林を作りました。この森林が埋没して,石炭になりました。古生代の一時代に膨大な石炭が形成されたので、その時代は石炭紀と呼ばれます。
[Steur, H., Hans' Paleobotany Pages http://www.xs4all.nl/~steurh/, 2000]
陸上へ進出した植物を追いかけるように、節足動物や軟体動物なども陸上へと進出しました。大地は生命に満ちあふれ、地球は緑の惑星となったのです。
[Photo by Sawamura, Gifu University, 2001]
Steur, H.: Hans' Paleobotany Pages, 2000, http://www.xs4all.nl/~steurh/home.html