ENSOサイクル: ENSOの開始から終息まで
エル・ニーニョは、繰り返し発生している。そのひとつひとつを検討すると、それぞれ発生する現象やその時間的推移に違いがある。
しかし、同様の経過をたどる現象も多いので、多数のエル・ニーニョを平均して、個々のエル・ニーニョのゆらぎをとりのぞくと、平均的な描像(コンポジット・エル・ニーニョ)が描ける。
- 1. 前兆
- 強いエル・ニーニョの発生に先立って西太平洋で貿易風が強まる傾向がある。強い貿易風は表層海水を風下に吹き寄せるので、西太平洋の海水面高度が東太平洋に比べて高くなる。
- 2. 開始
- エル・ニーニョの年の秋には、西太平洋の温暖領域が赤道を越えて北に拡大する。それにより、南半球の赤道収束帯(Convergence Zone)が北東方向へ移動する。それにより、貿易風が弱まって海水面の東西傾斜を解消するような流れが発生する。
- 3. 最盛期
- ペルー沖の海水の高温状態が1月ごろ6月にかけて持続する。初めのうちは、例年の温暖化と区別しにくい。ペルー沖では赤道から南下する海流が発達する。
- 4. 終息
- 終息。