“エル・ニーニョ”の意味

南アメリカ大陸の西岸には、南から冷たいフンボルト海流が流れている。この海流はコリオリの力(地球の自転による見かけの力で、南半球では左向きに働く)を受けて、北上するにつれて沖へ遠ざかり、その隙間に、深層海水が表層まで沸き出している。フンボルト海流は、深層からの沸昇流なので、プランクトンのエサの栄養塩類が多くプランクトンの繁殖がさかんで、良い漁場である。
ところが数年に1度、暖かい海水が北の赤道域からペルー沖に南下することがある。暖かい海水は栄養塩類が少ないので、漁獲量が大きく減る。
この暖流は、地元の船乗りの間では、古くからエル・ニーニョ海流として知られていた。エル・ニーニョ(el niño)は、スペイン語で少年という意味だが、大文字のエル・ニーニョ(el Niño)はイエス・キリストのことである。この暖流がクリスマス( = キリストの降誕祭)のころに毎年強くなることから来ている。
通常、この暖流はしばらくすると弱まるが、数年間も持続することがある。この状態をエル・ニーニョ現象(el fenomeno del Niño)、あるいは単に、エル・ニーニョという。