歴史時代のエル・ニーニョ
ペルーの古文書を読む
エル・ニーニョが発生すると、海岸の近くでは温暖海水が停滞し、陸域では大雨・洪水が発生する。
Quinn (1987)は、古文書や航海日誌からペルー周辺の気象記録を収集し、エル・ニーニョ発生年に見られる現象をピックアップした。そうやって、エル・ニーニョの発生したと考えられる年をリストにし、また、それぞれのエル・ニーニョの規模を推定している。
Quinnは、エル・ニーニョの強度を右のように分類した、
では、1522年から1987年のエル・ニーニョの強さを表にしている。
ナイル川の水位変動を読む
太平洋から離れたアフリカの気候変動も、インド・モンスーンやENSOサイクルと相関がある。こうした、広い範囲の気候の密接な関連を、テレコネクションと呼ぶ。
ナイル川源流域では、エル・ニーニョ現象が発生すると降水量が減少する傾向がある。そこで、歴史史料に残されたナイル川の氾濫の記録から、エル・ニーニョの発生年を突き止める研究がなされている。表にQuinn (1992)がまとめた、西暦622年から1522年までの、エル・ニーニョの発生した可能性のある年を示す。