カナダでの探査

1943年米軍の気象観測用航空機からカナダ、ケベック州北部のウンガバ地域(Ungava district)で円形の湖の写真が撮影された。その後この湖は航空機のパイロットたちの目印となった。1946年にW.K. Carrが悪天候をさけるためこの湖に着陸し、何らかの爆発でできた湖だと考えた。カナダ地質調査所のY.O. Fortierがアリゾナのバリンジャー・クレーターとの形態の類似を指摘し、天体衝突起源だと考えられるようになった。
この発見に続いて1951年にオンタリオ州でブレント・クレーターが発見された。これらの発見によって、広大なカナダで円形地形の組織的探査が組織的に行われるようになった。こうして多数の円形構造が見つかったが、成因は不明だった。カナダの地殻のかなりの部分は先カンブリア時代に形成されたもので、そのほとんどが氷河時代に氷床で覆われ、地表の起伏は氷河作用で削り取られてしまっており、隕石の破片など見つけようがなかった。カナダの研究者たちは、それらが天体衝突によるものかどうかを明らかにするため、重力探査、磁気探査、地震探査によって地下構造を推定しようと試みている。そのため典型的な衝突構造であるアリゾナのバリンジャー・クレーターや核実験でつくられたクレーターの地質構造が詳しく調べられた。
クレーターの断面図。ズーム
クレーターの断面図。
上: 衝突クレーター。
中・下: 核爆発クレーター。